ニューサンピア栃木・鹿沼温泉華ゆらり(栃木県鹿沼市栃窪)栃木県鹿沼市にあるニューサンピア栃木は、郊外型リゾートの雰囲気を感じさせるホテルで、体育館、テニスコート、多目的グランドといったスポーツ施設、屋外プール(夏季のみ営業)のほか、日帰り温泉施設「華ゆらり」を併設している。もとは「ウェルサンピア栃木(栃木厚生年金休暇センター)」という名前だったが、ケービー食品が運営を引き継ぎ、昨年12月1日にグランドオープンした。鹿沼市東部に位置し、鹿沼や隣接する宇都宮の市街地までは車でひとっ走りの距離だが、周囲には林や田園地帯が広がっている。それでも栃木県の中心に位置することから、当施設では県内全域の観光スポットへのアクセスの良さを強調するが、果たしてそれが利用の動機となりうるかは未知数。低料金の宿泊プランは魅力だが。

広大な敷地のなかに、3階建地下1階の建物がある。かつての運営母体が社会保険庁の関連財団であるだけに、「建物には無駄に金をかけたなぁ」というのが第一印象。地下1階に温泉施設と体育館、地上階はすべて宿泊施設となっているが、1階はラウンジとレストラン、2階は会議や研修などに使用する宴会場、3階に50室の客室がある。施設としての正面玄関は1階にあるが、駐車場からの入館すると地下1階。入口には「鹿沼温泉華ゆらり」の幟も立つが、温泉施設の受付までの通路は殺風景で、しかも休憩室やロビーなどを見ても閑散としている。今回は宿泊で訪れたので、空いているぶんには構わないのだが。もちろん宿泊者の温泉施設利用は無料で、通常の営業時間以外に夜は24時まで、朝は6時から8時までの入浴も可能だ。

男湯は浴室に入るといきなりの下りスロープ。バリアフリーのつもりだろうが、滑りそうでびっくりした。スロープの壁の裏側には円形のハーブバスがあって、独自にブレンドしたものを袋詰めにして使用している。週替わりで、訪れたときはレモングラス・ペパーミント。お湯自体が人肌程度にぬるいのだが、ミントの効果で余計に涼しく感じられた。だが、この湯船は温泉ではなく地下水を使用。もうひとつ地下水使用なのがマッサージバス(ジャグジー)で、そもそもこれらは温泉である必要がないのだ。

温泉の湯船といえば、広々としたメインの湯船と檜風呂、そして露天風呂。メインの湯船は加温・循環・消毒を行っているが、露天風呂はこれにプラスして加水も。どちらも若干の塩素臭が漂う。露天風呂から見えるのは手入れされた植栽とその向こう側の林だが、奥行きがあるぶん開放的な感じがする。露天スペースにゆとりがあるのに、湯船を1つしか設けなかったのが良かったのかも。夜の景色はつまらないので、夕方以降ずっと林をライトアップしていれば良いのに、と思う。檜風呂では加温もせず源泉そのままをかけ流しで提供しているので、泉質を肌で感じることができる。といっても泉温が40.5℃なので、湯船では人肌程度。ついつい長湯になってしまう。わずかに白みがかったお湯は、若干のとろみがありつつもさらさらの肌ざわりだ。

ほかにミストサウナがあり、温泉施設としてはひと通りの設備を揃えている。夕方は利用者が少なかったのだが、営業時間の終わりが近づくにつれてまずまずの客入り。宿泊者よりも地元客ばかりで、夕食後のひとっ風呂に訪れている様子。

さて、宿泊施設としてのニューサンピア栃木はというと、平日だったからか宿泊客は少なく、夕食時のレストランはたった3組というありさま。朝食バイキングも5組ほどのために料理を用意しているのか、閑散としちゃってしょうがない。運営母体が食品会社であるため食事を重要視しているものと思うが、「独自の流通ルートで仕入れた世界中の新鮮な海の幸を取り揃えております」とのこと。海なし県の栃木では海の幸もご馳走か。神奈川から訪れるにあたっては、山の幸、とくに田舎料理を味わいたかったが。宴会場がワンフロアを占めているという事情から、地域の企業や団体の利用は多いものと思うし、そういった利用に頼る部分も大きいのではないかと思う。再スタートを切ったばかりで、これからネット予約などの整備やサービスの充実も図られることだろう。今度の賑わいに期待したい。

ニューサンピア栃木 華ゆらり
源泉/鹿沼温泉(単純温泉)
住所/栃木県鹿沼市栃窪1255 [地図
電話/0289-65-1131
交通/JR日光線鹿沼駅よりバス8分、東武日光線新鹿沼駅よりバス20分
     いずれも「休暇センター」停下車
     東北自動車道鹿沼ICより約8km(約15分)、宇都宮ICより約12km(約20分)
料金/大人500円、子供300円(3歳〜小学生)
時間/10:00〜22:00