黄金湯(横浜市保土ヶ谷区仏向町)相鉄線の駅前というのは似た風景が多いと思う。線路と並行して幹線道路が延び、ほんのわずかな駅前広場と素朴な商店街。和田町も駅前はスーパーや居酒屋の明かりがまぶしいくらいだが、しばらく歩くとシャッターを閉めた店も多いし、人通りも少ない。黄金湯は和田町と上星川のちょうど中間に位置し、バス通りからはわずかに入ったところ。周囲は住宅街だが、黄金湯が開業した40年ほど前は「まわりに何もなかった」という。コインランドリーを併設した銭湯で、「天然化石海水型」と書かれた看板が目印。

黄金湯(横浜市保土ヶ谷区仏向町)ガラガラと戸を開けると、番台よりも先に目に付く防犯カメラの映像。脱衣所内を撮影している銭湯は多いけど、浴室内を撮影している銭湯は初めてだ(男湯だけ?)。脱衣所には死角を見逃さぬようカーブミラーを設置。番台のおばちゃんは正面のテレビを観つつ、防犯にも目を光らせているということか。客の入りはそう多くはないし、目視で見渡せるような気もするが。室内には背の低いロッカーが斜め(対角)に置かれ、ほかには足踏み健康器、体重計、マッサージ椅子。脱衣所から続きになった休憩スペースにはソファとテーブルが2つずつあるのみで、贅沢なくらいゆったりとしている。温泉分析表を掲示しているのも温泉銭湯ならでは。16.8℃、pH8.2の鉱泉で循環ろ過、加温と加水で温度調整しているようだ。

浴室にはカランが5、4-4、5の列で並んでいる。間口を広く取っているわりに島カランは1列しか設けていないので、通路部分がゆったりとしている。固定式シャワーは外側の列のみ付いておらず、立ちシャワーは1ヶ所のみ。間仕切壁側には湖畔に浮かぶ富士山を描いたモザイクタイル絵。富士五湖のどこかから眺めた風景だろうか。

浴室の奥には湯船が3つ並んでいる。そのうち3帖大の湯船では温泉を使用しており、看板にもある「天然化石海水型」とは東京や横浜などに多い黒湯の鉱泉のこと。ここでは若干色味が薄いためウーロン茶のように透き通っており、そしてわずかに緑がかっているようにも見える。独特の油くささも意識すればかすかに感じる程度。デジタル表示の温度計では43℃を指しており、心地よい熱さ。その隣には座湯ジャグジーとバイブラ湯が並んでいるが、これらは温泉ではない。自分でスイッチを押して作動させる方式で、どちらもやたらと激しく、そしてうるさく、ちゃんと止まるのか?という不安。温泉の湯船にもスイッチがあったが、ジャグジーが作動するであろうことはわかっていたし、相客に迷惑かと思って押すのはやめておいた。

タイル張りの湯船の外側のふちに描かれているのは、赤や黒の鯉が泳いでいるさま。湯船の真上のモザイクタイルには湖に浮かぶ鳥居が描かれているが、この風景は箱根の芦ノ湖だろうか。そして装飾だらけの黄金湯で、必見なのはペンキ絵である。大きな湖が広がり、その湖畔にはお城が描かれている。単純な構図といい、不自然な厚塗りといい、しかも下地板できっちり湖と対岸の緑を描き分けている点など、どう見ても絵師の仕事とは思えない。帰り際に番台のおばちゃんに聞いてみると、だんなさんが描いたのだという。それを聞いて納得。はしごに登って何日かに分けて描いたらしいが、「ペンキは伸びないから大変だったみたい」とのこと。息子さんも絵が上手いと言うので、「次は息子さんが描く番ですね」と返したら、「仕事が忙しくてなかなか来れないのよね…」。ちなみに特定の風景というわけではなく、だんなさんがあちこち旅行したなかからイメージで描き上げたらしい。妙に味わい深く、印象深く、何よりもだんなさんの黄金湯への愛情が感じられた。

浴室の片隅に設けられたサウナは「燃料費値上げのため」土日のみオープン。サウナ代は取っていないようだが、「腰にバスタオルを巻くこと」という注意書きがある。貸バスタオルは100円とあったから、実質サウナ代は100円ということか。家から持参すればタダなのかもしれないが。脱衣所にせり出すようにしてサウナ室が設えてあるのだが、見るからに狭そうな感じがする。土日は混みそうな気がしてあえて避けたが、実際はどうなのか。おばちゃんとの会話が楽しく、また訪れてみたい銭湯だ。


黄金湯(神奈川県浴場組合)
黄金湯(横浜市浴場共同組合)

黄金湯
源泉/横浜温泉(温泉法の温泉)
住所/横浜市保土ヶ谷区仏向町245-1 [地図
電話/045-331-2707
交通/相鉄線和田町駅より徒歩8分、上星川駅より徒歩8分
料金/大人450円、中人180円、小人80円
時間/15:00〜23:00、不定休(主に金曜日?)