四季倶楽部フォレスト箱根(箱根町仙石原)箱根には「一の湯」「伊東園」「パイプのけむり」といったホテルグループが進出している。これらは企業の保養所を再生したケースが多く、共通のノウハウとサービスを提供することでコストカットを図り、格安料金での宿泊を可能にしている。「四季リゾーツ」もこうした手法で展開するホテルグループの1つで、全施設がオールシーズン1泊朝食つき5,250円。稼働率90%以上を誇るという。

全国は28施設を運営しているが、そのうち箱根には9施設。箱根はしょっちゅう行くが、そんなにあるとは知らなかった。調べてみるとすべての施設で、日帰り入浴の利用ができるらしい。今回は仙石原の「フォレスト箱根」を訪ねてみた。2001年5月にオープンした、四季リゾーツ1号店の施設だ。

通りから奥に引っ込んでいるので目立たないのは当然だが、現地のホテルらしくない雰囲気にはちょっと戸惑った。控えめな看板だし、重厚な2枚のドアによって館内の様子をうかがうこともできない。館内に入ると、まず贅沢なほどに開放的で吹き抜けのロビー。フロントでは日帰り入浴だというのに芳名帳に記名をする。「四季倶楽部」という名前からして会員制リゾートを思わせるが実際はそうではないし、格安の宿泊料金だというのに高級ホテルの雰囲気を感じさせる。

浴室は2ヶ所に分かれている。内風呂は3階に、露天風呂は渡り廊下の先の別館1階にある。まずは内風呂を訪れてみたが、こちらは温泉ではない。台形で6帖大の湯船の半分は激しいバイブラ湯。ガラス張りで目の前は雑木林の眺めだ。小さなサウナとカランが4つ、立ちシャワーが2つあるが、客室数に比して足りているのかという疑問。しかし調べてみると客室は17室だというから、この程度の広さでじゅうぶんなのかもしれない。ひっきりなしに客が出入りするものの、長湯する人もいない。みんな露天風呂へと流れていくことを前提としているからだろうか。

四季倶楽部フォレスト箱根(箱根町仙石原)露天風呂は4人が限度な大きさで、残り一人分に足を屈めてつかる。白濁したお湯は箱根温泉供給株式会社の蒸気造成温泉を引いてもので、かすかに硫黄の匂いが漂う。こちらも雑木林の眺めだが、お湯はぬるめなのでみんな長湯を楽しんでいる。簾は何のために掛かっているのか、硬くて立て付けの悪い戸をいつ直すのかというささいな疑問も。ピークを過ぎればゆったりと満喫することができた。

日帰り入浴の料金としては相場並みだが、宿泊は文句なしに安い。箱根ならば民宿でも不可能な料金ではないだろうか。それでいてハードとソフトの両面で満足度は高い。広告宣伝を目にする機会が少ないので、まだまだ露出度や認知度は低いように思うが、そのぶんはリピーターや口コミで補っているのではないだろうか。

四季倶楽部日帰りのご利用について(四季リゾーツ)
ルビコンの決断(テレビ東京-2009年10月22日放送)

四季倶楽部フォレスト箱根
源泉/大涌谷温泉(カルシウム−硫酸塩・塩化物泉)
住所/足柄下郡箱根町仙石原1285-12 [地図
電話/0460-84-5588
交通/箱根登山鉄道箱根湯本駅よりバス約30分「俵石」停徒歩5分
料金/1,050円(フェイスタオル・バスタオル貸与)
時間/15:00〜18:00、年中無休