そしがや温泉21(東京都世田谷区祖師谷)世田谷区は東京23区で最多の人口86万人を抱え、銭湯も約40ヶ所を数える。その中で、というより東京で最も名の知れた銭湯といえば「そしがや温泉21」だろう。スーパー銭湯並みに設備が揃っていることに加え、都会に湧く温泉としても貴重な存在だ。祖師ヶ谷大蔵駅の北口から延びる庶民的な商店街の中程を左に折れる。コインランドリーや専用駐車場などに隣接して、アイボリーが見える。もっと庶民的なビルなのかと想像していたから、ちょっと拍子抜け。すでに周囲は商店街の雰囲気ではないし、派手な看板を出さずとも集客できるということか。

券売機で入浴チケットを買ってから入館する。ロビーは早くもごった返していた。テレビやソファ、マッサージ椅子、自販機などなど、ゆったりと寛げる。それなのに脱衣所の手前にも休憩所があるという贅沢。足下が床暖房なのもありがたい(脱衣所も)。

人気施設だけあって夕方の客は多く、脱衣所はかなり混雑していた。しかしもっと混雑していたのは浴室だ。扉を開けた瞬間に目に飛び込んできた光景には、少なからず衝撃を受けた。洗い場も湯船も人で埋まり、湯船のふちに腰掛けている人も多数。ざっと数えただけでも20〜30人が詰め掛けており、サウナに入室中の人も含めたらかなりの人口密度だ。まず身体を洗おうにもカランの空きが見つからない。椅子と桶はあらかじめカランの前に用意されているので、あとは椅子取りゲームの感覚で空いたらすぐに腰掛ける。隣どうしの間隔が狭くてシャワーなどの際に気を遣うが、お互い様ということで多少は仕方がない。ボディソープやシャンプー、固形石鹸も常備されているので、タオルだけ持って行けばOKだ。

湯船は手前から温泉(電気風呂+バイブラ湯+設備なし)、シルクバス(電気風呂)、座湯ジャグジー+電気風呂、水風呂があって種類は豊富。「電気風呂好きだなぁ」という気もするし、よく見て入らないとビックリすることになる。温泉は昭和52年に湧出した冷鉱泉で、透明度は15cmほどの黒褐色。ちょっと熱めのお湯が気持ちいい。浴室の奥には大型テレビがあって、音声こそ出ていないが、入浴しながら見ることができる。湯船のふちに腰掛けている人は、湯冷ましながら何度も入浴したいという考えもある一方で、テレビを見たいという考えもあるのだろう。

別途料金だがサウナは乾式、湿式、冷凍の3種類があり、そのほかに裸で泳げるプールもある。これだけ揃っていれば別途300円はしょうがないかも。むしろ別途料金を支払ったとしても、東京でスーパー銭湯や日帰り温泉施設を訪れると思えば、きっと割安感があるのだろう。それでいて黒湯の温泉が楽しめるのだから、賑わうのも当然だ。

そしがや温泉21(東京都浴場組合)
そしがや温泉21(祖師谷どっとこむ)

そしがや温泉21
源泉/祖師谷温泉(ナトリウム−炭酸水素塩冷鉱泉)
住所/東京都世田谷区祖師谷3-36-21 [地図
電話/03-3483-2611
交通/小田急線祖師ヶ谷大蔵駅より徒歩5分
料金/大人450円、中人180円、小人80円
     ※サウナは別途300円
時間/14:00〜26:00、年中無休(元日のみ定休)

(追記-2023/1/23)
建物・設備の老朽化により、2023/3/31をもって閉店するとのこと。

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