かまぶろ温泉(川崎市川崎区藤崎)銭湯といえば普通は夕方からの営業だが、川崎区藤崎のかまぶろ温泉はそんな常識を覆し、早朝から深夜までぶっ通しの21時間営業。朝風呂営業だと考えてみても6時開店は早すぎるが、水商売の勤め帰りやサラリーマンの出勤前のひとっ風呂に対応。深夜は3時(※現在は1時まで)まで営業だから、終電帰りや飲み歩いたあと(本当はダメだけど)にも対応。あらゆる層がターゲットになりうるわけで、営業時間だけで考えればスーパー銭湯に限りなく近い。実際に温泉やサウナなど設備も整っており、川崎区の銭湯激戦区の中でも異彩を放っていると言えるだろう。

かまぶろ温泉(川崎市川崎区藤崎)川崎駅前から延びる新川通り(県道101号線)は、さつき橋交差点で枝分かれする。ここで藤崎方面に向かうと、川崎大師駅から南に下った通りに交差する。このあたりが藤崎商店街で、個人商店ばかりが軒をつらねている。そして商店街の西側よりわずかに北に路地を入ったところにあるのがかまぶろ温泉。外壁が真っ黄色のビル銭湯で、ご丁寧にも「ふろや」とでっかく書いてある。ゲルマニウム温浴のほか、韓国式アカスリ、韓国漢方エステ(よもぎ蒸し)、中国整体マッサージといったサービスも充実している。これでロビーがもっと広かったらいいのだが、そこはやっぱり銭湯なのである。

フロントで下足札とロッカーの鍵を引き換えたら脱衣所へ。室内にはイージーリスニングの音楽が流れ、新旧のマッサージチェア、ジュースの自販機などを備えている。縦長のロッカーはハンガーつきだ。広い浴室には出入口が2ヶ所あり、洗い場にはカランが3、4-4、6-6、6の列で並んでいる(すべて固定式シャワーつき)。ほかに立ちシャワーも1つだけある。湯船は3か所に分かれて配置されているが、まず小さな湯船は寝湯ジャグジー。そして大きな湯船は底の段差によって深めと浅めに分かれているが、結局はどちらもジャグジーなのである。「ゲルマニウム温浴」を謳っているのはこの湯船で、細胞の活性化や抗癌などに効果があり、約20分の入浴でエアロビクス2時間分の美容・エステ効果があるという。壁には2mくらいの水槽が埋め込まれているが、水草が多くて肝心の魚がどこにいるのかわからず…。そしてこの2つの湯船の奥にはサウナ(別途料金)と水風呂、カラン3つ、アカスリ台がある。

温泉を使用した湯船は奥まったところにあるので、広い浴室の中にあっても賑やかさとは無縁の空間だ。この湯船も段差で深さを分けており、浅いほうにはジャグジーを備えている。薄茶色のお湯で、蛇口を出して舐めてみると甘じょっぱい。さらにヒマラヤ岩塩を溶かし込んでいるようで、傍らにはピンク色の岩塩の塊が植木鉢のような容器に入って置いてある。みんなが触っているせいか表面はつるつる。「タイルで割るな」とか「湯船に入れるな」といった注意書きがあるが、みんなこれをどうにかしてみたいのであろう。温泉だけでもPRになるというのに、あえてヒマラヤ岩塩をしようすることにこの銭湯のこだわりが感じられる。

かまぶろ温泉は開業当時の蒸し風呂にルーツを持つという。「木製の縁台にむしろを敷いた上に入浴客が横たわり、縁台の下から蒸気を出して全身浴していたらしい」(高橋誠一「神奈川の銭湯」かもめ文庫)というから、日本式スチームサウナの原型ともいえるだろう。こんな入浴の仕方もいずれ復活させてみたらどうだろう。いまでもじゅうぶん楽しめる銭湯ではあるのだが。

かまぶろ温泉(神奈川県浴場組合)
かまぶろ温泉(川崎銭湯どっと混む)

かまぶろ温泉
源泉/川崎温泉(ナトリウム−塩化物冷鉱泉)
住所/川崎市川崎区藤崎4-7-3 [地図
電話/044-211-2626
交通/JR・京急川崎駅よりバス「臨港病院前」停徒歩2分
     京急大師線鈴木町駅より徒歩16分、川崎大師駅より徒歩18分
料金/大人450円、中学生350円、小学生180円、小人80円
     (サウナセット)大人770円、中学生670円、小学生520円
時間/6:00〜25:00、毎週金曜日定休

(追記-2012/9/16)
2012/4/7より営業終了時間が27:00→25:00に変更されました。