静岡市清水区の市街地より直線距離で北に約20km、17.8ヘクタールという広大な森林公園の中に「清水西里温泉浴場 やませみの湯」はある。車だと興津より約40分の道のりだが、国道から分岐したあとの道のりが遠く、山すそののどかな景色へと変わっていく。市境はまだまだ先だが、本当に静岡市なのかと疑問に思うくらいの田舎で、山に囲まれた環境だ。
森林公園「やすらぎの森」は展望台、ボードウォークなどを備えた市民憩いの場なのだろうが、市街地からはいかんせん遠すぎる。大半の人が休日を満喫する気分で訪れるのであろう。やませみの湯も平日と休日の営業時間が極端に異なり、平日にいたっては仕事帰りに訪れる人などを想定していないようだ。とはいえ平日の16:30頃に訪れたのだが、案の定ガラガラだった。
施設内には食事処、地元の特産品の販売コーナーもある。公営施設なので商売下手な感は否めないし、玄関先の看板にしても野暮ったい。脱衣所のロッカーが100円返却式なのは良心的だが、浴室は固形石鹸のみなので、シャンプーは持参するかフロントでミニボトルを購入する。開業してからちょうど10年経つが、サービスに関して考慮する余地は多々あるだろう。浴室にはＬ字型の大きな湯船があり、一部にジャグジーを備えている。露天風呂は微妙に大きさと温度の異なる岩風呂が３つ並んでいる。これらのうち露天風呂の1つのみが源泉かけ流しで、ほかは循環ろ過・塩素消毒を行っている。源泉かけ流しの湯船は人肌よりもぬるめで、しばらくつかっているとぽかぽか温まり、そしてうとうとしてしまうほど気持ちがいい。源泉はうっすらと茶色く色づき、わずかに鉄さび臭も感じられる。ほかの湯船は循環しているせいか色づきがなく、塩素臭も顕著だ。植栽の手入れもよく、ぐるりと取り囲む山の景色ものどかで良い。
露天風呂で長くつかっていたら、この施設のオーナーだというおじいさんに話しかけられた。毎日夕方に来ては客の話を聞き、施設のサービスに活かしているとのこと。大半はこの地区の現状についてだったが、おじいさんの話は尽きることがない。「まぁゆっくりしていきなよ」と言うが、すでに閉店時間が迫り、最後の客になっていた。
「源泉が濃いので入浴は10分で」と書いてあったが、これも混雑緩和を促す建て前か。気づけば1時間もお湯につかっていたことになる。楽しい入浴であったことには違いないが、真っ暗な帰り道はちょっと寂しかった。
静岡市清水西里温泉浴場 やませみの湯
源泉／清水西里温泉（含銅・鉄(��)−ナトリウム・カルシウム−塩化物泉）
住所／静岡市清水区西里1449 ［地図］
電話／054-343-1126
交通／ＪＲ東海道線清水駅または興津駅よりバス｢但沼車庫｣で乗り換え、
｢西里温泉｣下車徒歩1分
（清水駅より約55分、興津駅より約40分）
県道52号線「但沼」交差点より県道75号線〜県道196号線
料金／大人700円、小人300円 ※小人は小学生以下
時間／9:30〜18:00（休日は19:30まで）
毎週月曜日（祝日の場合は翌日）、年末年始定休
（追記-2015/12/23）
公式サイトにリンク貼り替え
現在は浴室内にシャンプー・石鹸の設置あり
