加仁湯(栃木県日光市)女夫淵温泉より遊歩道を約60分、八丁の湯を経てさらに約10分、奥鬼怒温泉郷のうち知名度で他を圧倒するのが加仁湯である。山の中に建つ一軒宿でハイカーの利用も多いのだが、同時に温泉目当ての客のための観光ホテルと言うべき規模の大きさだ。鉄筋コンクリート造地上3階地下1階建の本館は、瓦屋根を載せた和風の造りだが、山あいのロケーションではそびえ建つようにも見える。玄関先には「歓迎○○様」の看板が並び、紅葉の季節だからか平日でも客室の稼働率は高いようだ。

加仁湯(栃木県日光市)電話の対応に追われるご主人を待つ間に、カウンターに並んだパンフレットなどを眺めていると、「とちぎにごり湯の会」なる小冊子を見つけた。300円で購入すると、加仁湯の入浴料が300円引きになるという。掲載施設数は多いので、栃木県在住もしくはあちこちの温泉をまわりたい人にはおすすめだ。「見つけちゃいましたね」と笑うご主人。加仁湯は同会の事務局を兼ねている。

加仁湯(栃木県日光市)加仁湯では泉質の異なる5本の源泉を持ち、利き酒ならぬ利き湯を「ロマンの湯」で楽しめる。1人用の小さな湯船が5つ並んでおり、「たけの湯No.2」のみ無色透明だが、ほかの源泉は乳白〜青白くにごっている。温度も微妙に違うが、それ以上となるとよくわからない。ちなみに加仁湯で男女別なのは内湯(脱衣所が清掃中で入浴できず)だけで、第1露天風呂は女性専用、そのほかはいずれも混浴だ。ロマンの湯も脱衣所こそ男女別だが、外に出ると男女が裸ですれ違うこともありうるので、女性は驚くかもしれない。

加仁湯(栃木県日光市)加仁湯(栃木県日光市)ロマンの湯の真下にあるのが第2露天風呂。外にある小屋のような脱衣所は棚のみで、男女兼用。ごろごろした岩を配した湯船は、鬼怒川の川床を思わせるようなつくり。じっくり湯につかるも良し、岩に腰掛けて涼むも良し。鬼怒川の対岸の断崖は雑木林の景色で、頂上付近に紅葉と柱状節理を眺めることができる。夜はライトアップされるという。

加仁湯(栃木県日光市)加仁湯(栃木県日光市)混浴の第3露天風呂(写真左)も脱衣所だけ男女別。湯船は広いのでなんとなく分かれてしまうつくりであるが。女性専用の第1露天風呂(写真右)も近接しており、こちらも広い湯船だ。どちらも川面に近く、景色も開けているので開放的。対岸の山を正面に眺め、かつ青白いお湯に反射して輝いている。これだけのロケーションと湯船の数をもってすれば、温泉目当ての客がここまで訪ねるのも頷ける。日帰り入浴ですべてを制覇しようとすると、服を脱いだり着たりでせわしないため、できれば宿泊して楽しみたいものだ。風呂上がりにロビーで休憩しようと思ったら、昼時のせいかハイカーでごった返していた。山菜そば・うどんのみ注文することができ、一杯600円。 温泉よりそばのほうが高いとは…。

加仁湯パンフレット
加仁湯パンフレット
加仁湯パンフレット

とちぎにごり湯の会
湯西川・川俣・奥鬼怒温泉観光協会

加仁湯
源泉/奥鬼怒温泉(含硫黄−ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉)
住所/栃木県日光市川俣871 [地図
電話/0288-96-0311
交通/東部鬼怒川線鬼怒川温泉駅よりバス約100分、女夫淵温泉より徒歩約70分
料金/500円
時間/9:00〜15:00、年中無休