富国湯(相模原市若松)銭湯といえば住宅や工場などの密集する下町的なエリアに多く、典型的な郊外ベッドタウンの相模原市に7軒あるのは意外な感じがする。富国湯にいたっては駅からも遠く、住宅街のど真ん中といった環境。最寄のバス停からいちおう商店街(あいろーど若松)は続いているものの、そのいちばん奥に位置する。おのずと夜は薄暗く、通りに人影はまばら。玄関先の看板の明かりがよけいにまぶしく感じられる。

周辺住宅地の分譲と時を同じくしてか、昭和44年の開店。確か『かながわの銭湯』(神奈川新聞社)という本で読んだと記憶しているが、「富国」という景気の良い名前は店主自らが考えたのではなく、分譲主だか仲介業者だったかの不動産屋の薦めによるもので、その不動産屋の屋号から取ったのだという。今年が開店40周年だが、銭湯のなかでは歴史は浅いほう。銭湯っぽくない素っ気ない外観に反し、玄関をくぐると番台式。脱衣所はわりと広めで、島ロッカーの上にはケースに入った民芸品。ぶら下がり健康器、新旧2台のマッサージ椅子、ジュースのショーケース、年代物の扇風機など。長押にはあちこちの尾根を撮影した写真や感謝状などが飾られている。一角にはソファを置いて休憩スペースを設けているが、ここだけでも6帖ほどの広さがある。

浴室もゆったりとしており、2ヶ所に設けられた扉を開けると、手前に洗い場、奥に湯船がある。カランは島式2列を含めて全部で30。シャワーが付いているのは島式のみで、ほかに立ちシャワー2ヶ所。浴室の隅にはサウナもあるが別途料金(200円)。天井はドーム型で、湯船の上には男湯と女湯にまたがって富士山が描かれたタイル絵。間仕切壁にもタイル絵で白糸の滝が描かれており、女湯は三保の松原とのこと。浴場組合のホームページによれば、これらのタイル絵は開店当時からのものだという。

湯船は2つ。まずは2帖ほどの座湯ジャグジー。そして5帖ほどの大きさの湯船にはバイブラ湯とジャグジーの設備が設けられ、側壁には赤やオレンジ、黄色のランプが灯っている。日替わり湯であるらしく、訪れた日の入浴剤は「クール」。脱衣所には「銭湯のお湯は熱いのでのぼせないように注意してください」なんて貼り紙してあり、それなりに覚悟してお湯につかったが、実際の温度は40℃ほど。こんなにぬるかったら長湯してのぼせしまうではないか。

おじいさんから若いサラリーマンまで客層はさまざまだったが、広い銭湯に4〜5人では寂しすぎる。この立地では遠方からの集客をあまり期待できないが、店舗裏以外にも専用駐車場ないしコインパーキングでもあれば…、という気がする。のんびり寛げる雰囲気は、まさに郊外型の銭湯といった感じだ。

富国湯(神奈川県浴場組合)

富国湯
住所/相模原市南区若松3-8-16 [地図]
電話/042-744-2241
交通/小田急線相模大野駅北口よりバス6分「団地入口」停徒歩6分
     国道16号線鵜野森交差点より約500m
     ※店舗裏に2台分の駐車スペースあり
料金/大人450円、中人180円、小人80円
     ※サウナは別途200円
時間/16:00〜23:00、毎週月曜日定休