開国博Y150「たねまる」横浜開港150周年記念イベントとして「Y150」が行われているが、来場者は目標の3割にも満たない低調ぶりだという。ついには任期満了を待たずして辞任した中田元市長の責任問題にまで発展した。会場はみなとみらいのベイサイドエリア、山下・山手地区のマザーポートエリア、ズーラシアのヒルサイドエリアという広範囲に点在し、しかも大人2,400円という高額な入場料。「面白かった」なんて感想どころか、そもそも行ったことがある人をお目にかかったことがない。4/28に開幕したイベントは9/27で閉幕するが、つい先日取引先からチケットを貰ったので、「タダなら行くよ」と意気込んでY150ベイサイドエリアを訪れた。

赤レンガ倉庫周辺がベイサイドエリアだが、この会場ですら3か所に分かれている。どんな順番で訪れてもよいが、まずは「はじまりの森」を訪れた。ゲートには「300万人達成」という横断幕が掲げられているが、平日の昼間はじつに閑散としていた。「La Machine(ラ・マシン)が動いています」という声に急かされてゲートをくぐると、クモを模した巨大マシンがまさに稼動中。その高さは約12mにもなるという。街を劇場にすることを目的としたスペクタクルアートで、Y150のためにフランスより72名のスタッフとともに来日したのだという。

開国博Y150「ラ・マシン」開国博Y150「ラ・マシン」開国博Y150「ラ・マシン」
開国博Y150「ラ・マシン」開国博Y150「ラ・マシン」

巨大クモが稼動するのは1日5回。開港150周年と何の関係があるのか知らないが、これがいちばんの呼び物であるというから主催者の考えは理解不能だ。その点唯一まともなのは「横浜ものがたり」というコーナーであったが、パネル展示のチープ感は否めない。黒船でやってきたペリー提督が「メキシコのような運命をたどりたくなかったら開国しろ」といった趣旨の暴言で開国を迫っている様子が紹介されているが、これは史実なのだろうか。無茶苦茶な紹介の仕方だと感じたが、あっさりと開港し、その次には欧米から伝わった蒸気機関車やテニス、野球といった横浜発祥の文化の紹介。もっと知りたければ横浜開港資料館に行けとばかりに、あっさりとした展示内容だったが。

開国博Y150「横浜ものがたり」開国博Y150「横浜ものがたり」開国博Y150「横浜ものがたり」

つづいて「トゥモローパーク」会場へ。こちらでのメインは「BATON」というアニメの上映。近未来を舞台としたSFファンタジーで、全3章(各回約20分)からなる作品。しかし上映回は時期によって区切っているので、この時期に観れるのは第2章と第3章のみ。「もうすぐ始まります」というアナウンスもあり、よく確認もしないままシアターへ。始まったのは第2章の物語だったが、案の定どんなストーリーなのかわかるはずもない。いきなり暴力シーンで、切断された相手の首を手に持った主人公に、相手役が「そんなの捨てちゃいなさいよ」というのが冒頭の会話。すぐに退席したくなったし、子供が泣き叫ぶのはごもっとも。お年寄りが「OSをインストール」といった言葉の意味を理解できると思うのか。物語の内容は最後までよくわからなかったが、あまりにもくだらない内容に第3章を観ようという気も起こらず。アニメ作品としての質は高いのかもしれないが、開港150周年といったい何の関係があるのか。子供向けのアニメではいけなかったのだろうか。こんな作品を発注した主催側担当者の意見を伺いたい気分だ。

開国博Y150「PIVO2」ベイサイドエリアの締めは「ドリームフロント&スーパーハイビジョンシアター」。540インチの巨大ビジョンで観る映像は迫力じゅうぶんだが、なぜ題材がハワイの海なのか?そりゃ横浜の海よりハワイの海のほうが美しいだろうよ。そして画面いっぱいに大写しになった星条旗。今度はアメフトの大会の開会式のようだ。黒船襲来を引きずっているのか? 思うにこうした映像作品は、世界中の博覧会を渡り歩いているのだろう。もうひとつの目玉は、日産自動車が研究開発した電気自動車「PIVO2」の展示。映像では3人の子供がナビゲーター役として出演し、世界各国の環境問題を紹介する。

約5時間の滞在でおおよそのアトラクションを見て回ったが、正直なところ何も楽しめない博覧会であった。世間がイメージするところの横浜は、いつだって「ハイカラな街」であろう。開港によって大きく発展した横浜を振り返らずして、未来ばかりを語る姿勢はいかがなものか。横浜で開催する意義を見失っているではないか。いずれの企画も金をかけたのはわかるが、テーマや客層を再検討すればもっとコンパクトに、そして安い入場料で多くの客を呼べたはず。秋の連休シルバーウィークでいかにして来場者を積み上げ、今月27日の最終日を迎えるか。ラストスパートに期待したいが、話題性自体がすでに乏しい…?



横浜開港150周年記念テーマイベント「開国博Y150」公式サイト