鶴の湯温泉(秋田県仙北市)乳頭温泉郷は田沢湖の北東、乳頭山の西麓に点在する温泉の総称で、最寄りの田沢湖駅から約1時間の距離にあるにもかかわらず、多くの入浴客が訪れる日本を代表する温泉地だ。鶴の湯温泉、大釜温泉、妙乃湯温泉、蟹場温泉、孫六温泉、黒湯温泉、休暇村田沢湖高原という7つの一軒宿から成り、それぞれが独自の源泉を持っている。その泉質は異なり、10種類以上になるという。ブナの原生林に囲まれ、緑豊かなロケーションだ。乳頭温泉郷の由来となった乳頭山は、女性の乳房に似た形だからその名が付いたのだとか。それも戦前のことだというから、たいして古い話ではない。ちなみに乳頭温泉郷でもっとも古い開湯は、鶴の湯温泉の江戸時代だとされている。

田沢湖方面から県道127号線で乳頭温泉郷を目指すと、数軒のホテルが建ち並ぶ田沢湖高原温泉(Yahoo!トラベル)を通過する。そこから約3kmの地点が、鶴の湯温泉へと至る道路の入口。途中に水芭蕉の群生地を2ヶ所。見頃は4月下旬から。その後は高原の林道といった雰囲気の道路をひらすら走るが、このあたりは標高800mだという。途中で別館「山の宿」(日帰り入浴不可)を通過し、しばらくすると鶴の湯温泉が見えてくる。

乳頭水ばしょう群生地乳頭水ばしょう群生地乳頭水ばしょう群生地
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乳頭温泉郷でいちばんの人気を誇る鶴の湯温泉は、休日だと9時の時点で日帰り客が行列を作っているという。それならばと8時頃に到着したが、すでに客がちらほら。しかし早すぎたので、茶屋でトーストを食べて一服していたら、だんだんと客が列を作り始めていた。慌てて列に加わるも、すでに50人以上が並んでいた。入浴開始時の10時には列をさばくため、事務所の前にテーブルを出して入浴料を徴収。同時に、ある程度の人数で入浴制限を行っていた。なるほど、噂どおりの賑わいぶりだ。

鶴の湯温泉(秋田県仙北市)敷地内には黒塗りの建物が数棟建ち並んでいる。茅葺き屋根が立派な本陣と呼ばれる建物は築350年になるといい、秋田藩主の佐竹義隆が湯治に訪れた際には警護の士が詰めていたという。ほかの建物もまた味わい深く、全体としてひなびた雰囲気を演出している。これらの建物から湯の沢を隔てた向こう側に、白湯や黒湯といった湯小屋、鶴の湯などの露天風呂がある。

まずは湯の沢を渡ったらすぐの白湯、黒湯へ。この2つは隣どうしにあり、浴室内で行き来できる。どちらも小さな湯船が1つあるだけで、白湯がやや熱めなのに対し、黒湯はややぬるめ。温泉の成分が湯船のふちに堆積し、黒や緑に変色。ひなびた風情をより一層醸し出している。白湯、黒湯とは言うけれど、どちらもお湯は乳白色。しかし天気の悪い日は、黒湯のお湯が多少黒っぽく見えるのだという。ちなみに鶴の湯温泉では4つの源泉があり、いずれも乳白色をしているが、これらは泉質や温度が異なる。そしてこれらは、半径50m以内に湧出するというから驚きだ。

鶴の湯温泉(秋田県仙北市)鶴の湯温泉(秋田県仙北市)鶴の湯温泉(秋田県仙北市)

混浴露天風呂である鶴の湯のわきを通って、今度は中の湯へ。それぞれに脱衣所があるものの、腰にタオルを巻き、裸で移動する人も多い。しかし女性の目を考えるとこの行動はどうなのか?と考えさせられる。混雑していることもあって、脱衣所の床ははびしょ濡れだし。小さな湯船1つの浴室を通って、露天風呂の鶴の湯へ。

鶴の湯温泉といえばこの露天風呂。山の斜面を背後に控え、ぐるりと緑の大自然が取り囲む。雪景色の写真でも有名だ。お湯は青白く、日差しが反射してまぶしい。お湯は足元から湧出し、また一角に設けられた滝の湯(打たせ湯)からもかなりの勢いで注がれている。底には玉石が敷き詰められており、足裏に心地よい。湯船の規模は広大で、濁り湯であるため女性でも入浴しやすいと思ったが、実際には大勢の眼差しに圧倒されるそうだ。写真撮影をするマナーの悪い客もおり、このあたりが有名になりすぎた温泉の弊害か。しかし鶴の湯は女性思いの温泉だ。女性専用の露天風呂として別に2ヶ所が設けられている。

鶴の湯温泉(秋田県仙北市)鶴の湯温泉(秋田県仙北市)鶴の湯温泉(秋田県仙北市)

帰りに別館「山の宿」に立ち寄り、名物料理の山の芋鍋を食べた。写真の通り、出てきたものは山で採れたものばかりで、素材の旨味を堪能することができた。こうした食事と温泉を繰り返していたら、きっと心身ともに健康になれるだろうな、と思う。

乳頭温泉組合
日本秘湯を守る会(鶴の湯温泉)

鶴の湯温泉
源泉/鶴の湯温泉
     (白湯:含硫黄−ナトリウム・カルシウム−塩化物・炭酸水素泉)
     (黒湯:ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉)
     (中の湯:含重曹食塩硫化水素泉(旧泉質名))
     (滝の湯:含硫黄−ナトリウム−塩化物・炭酸水素泉)
住所/秋田県仙北市田沢湖田沢先達沢国有林50 [地図
電話/0187-46-2139
交通/JR秋田新幹線田沢湖駅よりバス40分「アルパこまくさ」から送迎あり(予約制)
料金/大人500円、小人300円
時間/10:00〜15:00、月曜日は清掃日のため日帰り入浴は内湯のみ

「湯の色じゃない 名の由来 乳頭温泉郷」(朝日マリオン・コム)