東北道鹿角八幡平ICより伸びる国道341号線経由で、アスピーテライン(秋田・岩手両県道23号線)へ。後生掛温泉の次は「蒸ノ湯」へ。地熱を利用した蒸かしの湯であるから「ふけのゆ」というらしく、標高1,100mの高所のあちこちから湯煙が上がっている。宝永年間(江戸時代中期)に開湯した八幡平最古の温泉で、かつては湯治場も存在したが、昭和48年の土砂崩れで崩壊したのだという。現在は一軒宿の旅館として営業しているが、雪に埋もれる冬季は休業する。秘湯という表現がふさわしい立地と佇まいだ。

蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)

ノスタルジックな木造校舎風の建物で受付。館内には「ふけの湯神社」があり、金精様が祀られていた。今回の旅では花巻市の大沢温泉(⇒記事)で「金勢まつり」を目の当たりにすることができたが、温泉地と金精様の結びつきは深い。蒸ノ湯でも子宝祈願に訪れる客が多いようだ。ほぼ実物大と言える大きさで、持ち運び便利な金精様も売られていた。そんなふけの湯神社を見たあとは、館内のお風呂へ。3帖ほどの内湯のほかに、4帖半ほどの露天風呂がある。こちらでは岩の湯源泉を使用しており、お湯はうっすらと白みがかっている。pH2.4というからかなりの酸性度だ。露天風呂では雪をかぶった遠くの山の景色を眺めるることができる。

蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)
蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)

これで満足している場合ではない。そこそこの時間で入浴を切り上げたら再び服を着て、今度は外の露天風呂へ。ゆるやかな坂を2〜3分ほど下っていくと、男女別の露天風呂、さらにその先に混浴の露天風呂がある。荒涼とした景色が広がっており、あちこちから湯煙が上がっている。驚くべきことには遊歩道のすぐ足下からも温泉がこぽこぽと湧き出していることだ。立ち入り禁止のロープが張ってあるわけでもなく、注意を喚起する看板があるわけでもない。大自然の恵みを間近で感じることで、このあと入浴する露天風呂への期待は、否応なしに高まってくる。

蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)

まずは混浴の露天風呂へ。平成16年に新設されたのだという。混浴といえば昔の温泉文化だと思われがちだが、折からの温泉ブームによって、次第に評価は高まりつつある。もちろん客のマナー向上は必須だが、若い女性客に理解が進んだことも背景にあるだろう。良質な温泉が評価される時代なのだ。こちらでは簡単なつくりの脱衣所こそ男女別だが、扉を開けるとすぐに湯船。8帖ほどのゆったりした湯船が2つ並んでおり、おのずと男女別みたいな雰囲気になる。といっても圧倒的に男性が多かったのだが。すだれを周囲に張り廻らしているので、風呂につかりながらの視界はちょっと劣るが、開放感は抜群。なにしろぐるり360度なにもないのだから。

蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)

開放感においてさらに素晴らしいのは、男女別の露天風呂だ。なだらかな山すそに湯船があり、遮るものは塀などは何もない。目の前の岩肌からも湯気が立ち、野趣満点の入浴だ。さきほどの露天風呂も緑がかった乳白色だったが、この湯船がいちばんにごっていて、たくさんの湯の花が舞っていた。かすかに硫黄のにおいもする。館内の風呂とは異なり、こちらで使用しているのは熊の湯源泉。木の樋を通じて絶えず源泉が注ぎ込まれている。気持ちのいい風に吹かれながらの入浴だったので、いくらでも長湯したい気分だった。もっと多くの人に評価されるべき、山のいで湯だ。

蒸の湯温泉ふけの湯(日本秘湯を守る会)
秋田八幡平温泉郷(八幡平温泉リゾート協会)
秘湯の宿ふけの湯(自遊人温泉倶楽部)

蒸ノ湯
源泉/ふけの湯温泉(岩の湯:単純酸性泉、熊の湯:単純温泉)
住所/秋田県鹿角市八幡平字熊沢国有林 [地図
電話/0186-31-2131
交通/東北道松尾八幡平ICよりアスピーテライン経由
     東北道鹿角八幡平ICより国道341号線〜アスピーテライン経由
料金/大人500円、小人300円
時間/7:00〜18:00、4月中旬〜11月上旬のみ営業

ふけの湯パンフレット