不老ふ死温泉(青森県深浦町)不老ふ死温泉のある深浦町は青森県南西部にあり、秋田県とは県境を成す。日本海の海岸線に沿ってJR五能線と国道101号線が走るが、平坦なのは海岸線だけで、町域の9割を山地が占める。世界遺産として知られる白神山地は町の南部一帯に広がり、多くの登山者が訪れるが、ほかにも十二湖など自然景勝は多い。しかし何といっても温泉マニアの間では、深浦町イコール不老ふ死温泉ではないだろうか。

不老ふ死温泉(青森県深浦町)国道より海岸へとゆるい坂道を下りていくと、本館と新館の分岐点に歓迎看板が立っている。素朴な施設であることを勝手に想像していたが、実際はかなり立派なホテル。日帰り入浴の受付は本館で、料金を支払った証として手首にオレンジ色の巻いてもらう。露天風呂は海辺にあるので、無賃入浴も不可能ではないからだろう。「まずは大浴場(内風呂)から入浴するように」とのこと。脱衣所には棚と籠を利用するが、セイフティボックスもある。露天風呂には再び服を着て行く必要があるが、貴重品は預けたままにしておくとよいだろう。

不老ふ死温泉(青森県深浦町)大浴場には2つの湯船がある。1つは温泉を利用した大きな湯船で、もう1つは井戸水を沸かしたバイブラ湯。温泉は地下200mから湧く、透明度のない黄土色のお湯で、鉄分のにおいと塩分の苦味あり。一方の井戸水は無色透明。どちらもかなりの高温なので長くつかっていられないし、そもそも露天風呂がメインなので長湯している場合ではない。大浴場で身体を洗わずに露天風呂に向かう人や、なぜか裸にタオル1枚で露天風呂に向かう人がいるのだが、フロントで何を聞いていたのだろうか。いまさら急いでも仕方がないのに。

不老ふ死温泉(青森県深浦町)館内より海岸に下り、100mほどの通路の先に露天風呂がある。塀をはさんで左にあるのは混浴、右にあるのは女性専用の湯船。写真で見る限りではどちらもほぼ同じ大きさで、しかも混浴に男性ばかりとくれば男女別浴はやむなし。日帰り入浴の開始早々に訪れたのに、すでに7〜8人がのんびりとお湯につかっている。目の前には日本海が広がっており、遠くに水平線を眺める。風が強いためか、それとも岩場であるためか、遠くで波しぶきが立っているが、耳をすまして聞こえるのは潮騒のみ。湯船のふちを跨げば海なのだが、高低差がないため海と一体化した気分だ。なかなかの絶景だし、開放感だが、これを言葉で説明するのは難しい。

不老ふ死温泉(青森県深浦町)不老ふ死温泉のある「艫作」(へなし)という地名だが、「艫(舮)」とは船の船尾のことを指す。地名の由来は「昔朝鮮から船が漂着し、当所で破損した艦を作り直して帰ったという伝説による」そうだ(艫作埼灯台)。岩礁地帯であることに加え、強風が吹きぬける地形であることも関係しているのだろう。ホテル裏には発電用の風車も立っている。ちなみに露天風呂では脱衣籠の上に重石を置いておかないと風で飛ばされてしまう。ゴールデンウィーク中でも肌寒かったが、お湯はぬるめだったので長湯することができた。

不老不死温泉パンフレット

不老ふ死温泉
源泉/下黄金崎温泉(含鉄−ナトリウム−マグネシウム−塩化物強塩泉)
住所/青森県西津軽郡深浦町大字舮作字下清滝15 [地図
電話/0173-74-3500
交通/JR五能線艫作駅より徒歩9分
     国道101号線より黄金崎方面へ約900m
料金/大人600円、子供300円
時間/8:00〜20:00(海辺の露天風呂は16:00まで)