相模大野駅の北口ペディストリアンデッキから見渡す駅前は、賑やかで活気に満ちているが、バスロータリーの左手からは大野銀座という昔ながらの商店街が続いている。この通りもひと昔前に比べればこぎれいになったが、再開発事業が進んでいるらしく店舗の立ち退きが進んでいた。平成24年度の竣工に向けて街並みは一変するようだ。

旭湯(相模原市南区旭町)旭湯(相模原市南区旭町)相模銀座は南保健福祉センターへと続いており、この南側に建つのが電車からも見えるプラザシティ相模大野(旧相模大野団地)のマンション群。その西側は戸建の建ち並ぶ住宅街で、今回紹介する旭湯もこの一画にある。3階建のマンション銭湯の1階で営業しているのだが、通りに面して看板や暖簾は出していない。洗濯機や乾燥機が並ぶその奥に暖簾がかかっているのを見つけて、ここが旭湯か!と気づくほどのわかりにくさ。入口部分の両側もテナントになっているようで、シャッターが開いていれば3軒長屋の雰囲気(どんな店なのかよくわからないが)。ちなみに、鶴の台小学校入口という交差点のすぐ近くで、雑貨店に隣接している。

番台式で脱衣所はゆったり。ロッカーは木製家具調の縦長タイプ。カバンはすっぽり収まるし、中にハンガーを備えているのも嬉しい。ベンチや丸テーブル、家庭用体重計、扇風機、テレビなど。下足箱は木札だが、ロッカーはリストバンドだったりして、まさに新旧混在といった感じ。女性用脱衣所との間仕切壁に設置された大きな鏡は、小田急相模原にかつてあったサガミ劇場から贈られたもの。「関西ヌード」の意味するところは謎であるが。

浴室は左右の壁際に7つずつ、真ん中は島式で6つずつのカランが並んでいる。壁際のみ固定式シャワーが付いており、ほかに立ちシャワーが1つ。湯船は浴室の奥に3帖ほどのジャグジー湯と、2帖ほどの深湯。温度計は45℃を指していたが、実際はそこまでは熱くない。しかし水でジャージャー埋めるおじさんも。釜焚き口付近にはやけど防止のためかすのこ状の板が打ち付けられている。女湯との間仕切壁にはモザイクタイルで安芸の宮島が描かれ、湯船の上のペンキ絵は三保の松原と夕焼けの富士山。赤い絵は赤字につながり、夕日は沈むから縁起が悪いというが、こんな定説もなんのそのといった感じ。

マンション銭湯といえども浴室部分に上階は設けられていないようで、天井は高く、湯気抜きもある。夕暮れ時に相客はおじさんばかり4人だったが、みな言葉もなく、女湯からも話し声は聞こえない。訪れる客のほとんどは地元の常連だとは思うのだが。静かな銭湯だと緊張するんだよなぁ、と思いながらとぼとぼと帰路についた。

旭湯(神奈川県浴場組合)

旭湯
住所/相模原市南区旭町24-30 [地図
電話/042-745-3746
交通/小田急線相模大野駅より徒歩10分
料金/大人450円、中人180円、小人80円
時間/16:00〜23:00、不定休