横浜×巨人(横浜スタジアム)今日の巨人戦は、試合開始に先立って山口俊(#11)の4月度月間MVPの受賞セレモニー。10試合に登板して2勝5ホールド(14回、14奪三振、自責点1、防御率0.64)という成績は、今年も最下位を突っ走る横浜にとって明るい話題だ。とはいえMVP発表の前日には、巨人戦で3発のHRをくらって計6失点。本人いわく「おごっている自分が心のどこかにいたかも」(山口俊ブログ「いまがしゅん」5/8より)。しかし守護神を担うべき石井裕也(#44)が2軍落ちのいま、山口に対する期待は必然的に大きいのだ。

といったことを念頭に置きつつ今回のブログを読んでいただきたいのだが、ついでにもう一点書き添えておくと、今日一番のサプライズは北川隼行(#4)の1軍昇格&即スタメンだった。シーレックスではいい成績を残すのに、なかなか1軍に呼んでもらえず、昨年にいたっては出場なし。今年こそ正念場な彼は、北川利之から隼行に改名してシーズンに臨んでいる。シーレックスでの応援歌は「♪信じている限り夢は終わらない〜」だが、1軍では当然左打者の汎用テーマ。その歌詞のとおり「♪出た出たついに必殺バットマン〜」なのである。

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やたらと前置きが長くなってしまったが、試合は横浜が新外国人のマストニー(#42)、巨人は福田が先発。先制したのは横浜で、意外と期待できる外人であることが最近判明したジョンソン(#3)の2ランHR。だけど糠喜びはいつだって禁物で、すぐさま逆転されてしまう。しかもショート石川(#52)のエラーがきっかけなのだから始末に終えない。マストニーが慎重になったところで、ラミレスに3ランHR、そして阿部にタイムリー。

このまま試合が進むにつれてずるずるいくのかな…、なんて考えるのは悪い癖だが、今日は相変わらずな福田の制球難(よく言えば狙い球を絞らせない)に助けられ、横浜は内川のタイムリーで意地の逆転。巨人の守備のエラーに救われたことも付け加えておきたい。7回を終わって8-6で横浜リードといえば、大味ながらあとは引き締めていくだけのはず。誰がこの試合を締めくくるのかといえば、当然山口俊となるだろう。月間MVPを受賞して不細工なピッチングはできないはずだが…。

横浜×巨人(横浜スタジアム)9回表。先頭の代打隠善から無難に1アウト取ると、ここからの山口はまるで人が変わったかのよう。まったくストライクが入らず、1番坂本、2番松本に連続でストレートのフォアボール。次の小笠原はライトフライで打ち取ったものの、タッチアップと盗塁で2死2−3塁。すんなり終わるはずが、まさかの展開となり、しかも迎える打者は4番のラミレス。しかし、この大ピンチをセカンドへのポップフライでしのぎ、ようやく試合終了……。となるはずが、北川がまさかの落球。ライトスタンドの空気が凍り付いている間に、ランナー2人が生還し、土壇場で同点に追いつかれてしまった。北川は1軍の空気に完全に飲まれてしまったのだろうか。「北川あぁーっと」といった感じだ。

横浜×巨人(横浜スタジアム)ぐったり疲れた9回裏。連続与四球でおかしな空気にした山口がバッターボックスへ。ピッチャーの台所事情なのか、バッティングへの期待なのか、はたまた自分で尻拭いせよとのお仕置きか。最初はどう見ても突っ立っているだけにしか見えなかったが、いざバットを振ってみれば、ショートの横をするどく破るヒットで出塁。つづく石川がきっちり送り、北川はさんざん粘ってレフト前にヒット。そして好調の内川(#2)との勝負を避け、1死満塁で4番の村田(#25)。打ち気満々の村田は早くも追い込まれてしまうのだが、結末は意外なほどあっさりとしていて、しかも予想外だった。なんせ、サヨナラ押し出しデッドボールなのだから。

試合後のお立ち台では、村田いわく「大きめのユニフォームを着ていて良かった」。しかも当たったのは袖口というから、運が味方してくれたとしか言いようがない。そして一緒にお立ち台に並んだ山口を「なぜお立ち台に立っているのか、意味がわからない(笑)」とも。サヨナラの展開を自らのピッチングで演出しつつ、先頭打者としてヒットで出塁し、勝ち越しのベースを踏み、結果的には勝ち投手。山口の月間MVPのセレモニーで始まり、山口のお立ち台で終わるという、なんとも結果オーライな試合だった。北川もさぞホッとしたことだろう。