みなくち荘(静岡県三島市)竹倉温泉は三島市の田園風景が広がる地域にある小さな温泉地。市街地側からみなくち荘、通猛寺をはさんで伯日荘、錦昌館の3軒が隣接して建ち並ぶ。みなくち荘はもともと宿泊も行っていたようだが、現在は日帰り入浴を専業としている。こじんまりとした建物で、玄関脇には「竹倉鉱泉開業記念」の石碑がある。これについては聞きそびれてしまったが、「昭和38年8月吉日」とあるから、みなくち荘が開業した記念に建てたものなのだろう。竹倉温泉自体は、昭和10年に湧出したわりと新しい温泉である。

玄関を入るとフロントは不在。すると、正面のロビーにいたおばちゃんが「奥さーん」と大声で呼んでくれた。訪れる客は近所のお年寄りが多いような感じがする。浴室は館内の突き当たり。棚に籠の並んだ小さな脱衣所よりガラガラと戸を開けると、渋い雰囲気たっぷりの浴室がある。湯船は4〜5人サイズが1つだけ。室内は全体的にこげ茶色のタイルでまとめられ、カランが3つ並んでいる。シャンプー・ボディソープの備え付けはありがたいが、誰が使ったかわかならいナイロンタオルは置かなくてもいい気がする。ちなみに浴室は男湯と女湯が左右対称の造りになっている。

みなくち荘(静岡県三島市)注がれるお湯は透明だが、鉄分を含んでいるため湯船では茶色。透明度はほとんどない。鉱泉のため加温しており、しかも湯量が少ないためか循環、そして塩素消毒を行っている。なので鉄泉独特の鉄さび臭は全然なく、タオルで身体を拭いてもたいして変色することはない。さらさらした肌ざわりで、初めのうちはぬるく感じたが、しばらく浸かっているとじんわり汗が噴き出してくる。あとで聞いたが、「源泉は裏庭にあり、かなり浅い地点で湧出している」とのこと。深く掘ると鉄泉ではなく、真水になってしまうのだとか。

大きくとった窓ガラスの向こう側は、すぐ目の前から田んぼが広がっている。どこにでもありそうな田園風景で、冬の時期は乾風が吹き、余計に寒々しく感じる景色だ。窓ガラスは湯気で多少曇っているが、目隠しもせず、開けっぴろげな感じがいい。男湯には誰もいなかったが、女湯はおばちゃんたちが賑やかだった。ご近所さんにとっての憩いの場ということか。田舎っぽい雰囲気の穴場的温泉だ。

三島の名湯竹倉温泉(三島市役所/観光情報)

みなくち荘
源泉/竹倉温泉(単純冷鉱泉)
住所/静岡県三島市竹倉21 [地図
電話/055-975-3791
交通/JR三島駅よりバス20分「竹倉」停徒歩1分
     国道1号線谷田交差点より県道142号線
料金/(入浴のみ)500円 ※1時間以内
     (入浴休憩)1,300円 ※9:00〜16:30
時間/9:00〜20:30、毎月第4火曜日定休