深大寺温泉ゆかり調布市にある深大寺といえば、関東では浅草寺に次ぐ古刹であり、縁結びのご利益があるらしい。緑が多く広大な境内で、北隣に接する都立神代植物公園も敷地の一部だったという。「深大寺そば」も有名で、門前には多くのそば屋が軒をつらねている。観光地の風情もあり、なにより東京とは思えないほどの静けさである。

「深大寺温泉ゆかり」は深大寺バス停より南に300mほどのところにある。道は狭く、古くからある家と最近建った家が混在する住宅街。到着するまでは「こんなところに温泉施設があるの?」と思ってしまうはず。現地には派手な看板もなく、周囲の環境に調和した低層の地味な佇まいである。小さな施設か?と思いきや、意外とそうでもない。ちなみにこの施設を運営する城山産業は千葉県印西市で「ヒーリングヴィラ印西」やレストラン事業、不動産業などを手掛けている。

フロントで利用コースを選択するが、料金は後払い制。下足箱の鍵とロッカーの鍵を引き換える。脱衣所前の番台では作務衣タイプの館内着、バスタオル、フェイスタオルを受け取る。脱衣所の縦長ロッカーは小さいと思うのだが、まぁしょうがない。

浴室には大きな湯船が1つ。壁や天井の一部、湯船のふちには木を用いており、いいにおいがする。大きな窓の向こうには露天風呂を取り囲む木々、そして手前には水車が回っている。浴室に入った瞬間から好印象を受けるはず。透明度がほとんどない黒褐色のお湯で、掘削深度1,500mから湧出。わずかにぬるっとした肌ざわり。循環処理で塩素消毒をしているようだが、気になるにおいはなかった。

浴室内には「塩釜風呂」と名付けられたサウナもあり。15帖ほどの広さで、そのうち3分の1くらいのスペースで実際に塩を蒸しており、周囲のベンチに腰かける。温度は50度ほどだが、わずかな時間でかなりの汗が出る。浴槽のふちに備長炭をあしらった水風呂は屋外にあり。ただの水風呂じゃないあたり、こだわりが感じられる。

屋外にはいくつか湯船があるが、まずは風水露天風呂。「大自然のパワー<風水>と、細胞を活性化する<波動術>を施設設計に活かして〜」「日本初の風水波動ヒーリング温泉」などとパンフレットにあるが、真っ先に頭に浮かんだのは厚木の「ほの香⇒湯花楽厚木店としてリニューアル」や「七沢荘」。風水を活かして〜という趣旨はわかるが、あまり大げさだと胡散臭い。しかしこちらでは岩風呂の四方に「白虎」「青龍」などと小さく刻み込まれているだけで、風水的な効果についての説明はない(パンフレットに書いてあった!)。岩風呂の一部はバイブラ湯になっており、また一部は洞窟風呂になっている。狭くて薄暗い空間だが、背後にポンプ室があるのか雑音が気になるし、なによりバイブラ湯によって発生した白い泡や葉っぱが流れてくる。水がよどむのは風水的に良くないと思うのだが。

もうひとつある岩風呂は「五色湖」という滝見風呂。石垣から水?お湯?が滝のように落ちているが、滝と言うには量が少ない。湯船はやや深めで、底には玉砂利が敷き詰められている。足ツボ刺激の効果を狙っているのだろうが、お湯は38℃ほどのぬるめに設定されているので、狙いとは裏腹にみんなじっと長湯を楽しんでいる。そもそもなぜ五色湖という名前なのかが疑問。

ほかに1人用の小さな「五右衛門風呂」があったが、鉄製ではなく木製。樽風呂というのでは…と思ったが、細かいことはまぁ良い。8角形で窓がガラス張りの建物は「香り風呂」といい、何かと思ったら木の香りだった。円形の湯船も木製で、さながら森林浴といったところか。といった感じで敷地はさほど広くはないが、湯船の数と内容は充実。自社で施設の設計を行っているためか、とくに露天風呂の配置に関しては自由な感じがあってよい。男湯と女湯とでは湯船の種類も異なるようだ。

2階には畳敷きの広い休憩室があり、枕と毛布の用意もあり、仮眠してくださいと言わんばかりの雰囲気。その隣にある食事処はスーパー銭湯のそれとは違い、手頃な値段ながらメニューも味も満足感あり。食事処は1階にもあり、こじんまりとしているが、中庭をのぞむ板の間の雰囲気。ちなみに中庭には足湯もある。

もしもツアーズ」「ドライブ A GO GO!」「ちい散歩」などで紹介されたらしく、館内にはサイン色紙が飾られている。「いい旅夢気分」や「ぶらり途中下車」が来たらロイヤルストレートフラッシュといったところか。「東京の温泉施設は高い金額を取るなぁ」と訪れる前に思ったが、対価に見合った泉質と設備で、満足度の高い施設であった。

深大寺温泉ゆかり
源泉/深大寺温泉(城山の湯:ナトリウム−塩化物泉)
住所/東京都調布市深大寺元町2-12-2 [地図]
電話/042-499-7777
交通/京王線調布駅よりバス約10分「深大寺」停徒歩4分
     京王線調布駅・JR武蔵野線武蔵境駅より無料送迎バスあり
     無料駐車場50台分あり
料金/(1日券)大人1,650円、子供1,000円(3歳以上小学6年生まで)
      ※バスタオル・フェイスタオル・館内着つき
     (夕焼け割引)大人1,350円、子供の割引はなし
      ※平日午後17時以降の入館
      ※バスタオル・フェイスタオル・館内着つき
     (カラスの行水コース)大人1,100円、子供550円
      ※60分以内。延長料金550円
      ※日祝、指定繁盛記の12:00〜19:00は利用不可
      ※バスタオル・フェイスタオルつき。館内着利用の場合は別途315円
     岩盤浴は別途800円(ラジウム石は1,000円)35分間、11:00〜21:00
時間/10:00〜22:00
     毎月第1水曜日定休(祝日の場合は営業)

「もしもツアーズ〜明日行きたい東京温泉ツアー」フジテレビ、2005/10/15放送
「ドライブ A GO GO!〜多摩川温泉街道ドライブ」テレビ東京、2006/12/24放送
「ちい散歩〜深大寺〜」テレビ朝日、2007/05/21放送

(追記-2014/12/3)
深大寺温泉ゆかりは2014/1/29をもって閉店し、翌1/30より「深大寺天然温泉 湯守の里」としてオープン。
運営会社の城山産業倒産のため。

現在の料金
(月〜土)大人1,200円、子供700円
※時間フリー、タオルセット・館内着付き
(日・祝)大人1,200円、子供900円
※時間フリー、タオルセット付き・館内着なし
(カラスの行水:月〜土)大人800円、子供500円
(カラスの行水:日・祝)大人900円、子供600円
※60分以内、タオルセットなし・館内着なし
(ナイトカラス)大人500円、子供250円
※21時以降、年中一律、タオルセットなし・館内着なし