奈良県明日香村は飛鳥時代の遺跡が数多く存在することで有名だ。実際に訪れてみると、なだらかな山なりの地形で農地も多く、のんびりとした印象を受ける。予備知識を何も持ち合わせていないので、まずは拠点となる国営飛鳥歴史公園館へ。高松塚古墳にほど近いところにあり、明日香村に点在する史跡を写真、ジオラマ、アニメなどで紹介する施設である。ここで地図を兼ねたパンフレットを入手。

中尾山古墳国営飛鳥歴史公園は高松塚地区、祝戸地区、甘樫丘地区、石舞台地区からなる歴史公園。ここ高松塚地区には、高松塚古墳と中尾山古墳、芝生広場、展望台がある。あらためて周囲を見渡してみるが、高松塚古墳も中尾山古墳もこんもりとした、ただの低山というか丘陵である。中尾山古墳は研究者の間では文武天皇陵ではないかといわれているらしいが、丘陵の上にさらにこんもりと盛り上がっているのがそれだという。なんだかよくわからず、ハイキングをしに来たわけじゃないのに…、という気分にさせられる。

高松塚古墳高松塚古墳は現在発掘調査中であり、仮設の建物に覆われてしまっている。周囲にも塀をめぐらせ、遺跡というより工事現場のようだ。こちらの石室内では昭和47年に極彩色の壁画が発見されている。青龍や白虎など四神や女子群像などの壁画の模写は、隣接する高松塚壁画館で展示されている。

高松塚壁画館
料金/大人250円、大学・高校生130円、中学・小学生70円
時間/9:00〜17:00、年末年始は休館

天武・持統天皇陵飛鳥歴史公園に車を停めたままにし、歩いて周囲を散策する。1km足らずのところに天武・持統天皇陵がある。律令制の基礎を築いた天武天皇、そしてその皇后で次に即位した持統天皇が合葬されている。丘のてっぺんが墳丘で、鳥居を掲げ、柵に囲まれたその光景はまるで神社だ。宮内庁管轄の神聖な場所なのだろうが、脇に目をやると農地が普通に広がっている。あぜ道とも路地とも言える道が散策路をというわけで、地図を片手に、徒歩あるいはレンタサイクルで観光客は移動する。明日香村の遺跡めぐりは距離がハンパないのでレンタサイクルは確かに便利だが、狭い道で後ろからチリンチリンと鳴らされると不愉快極まりない。

鬼の俎板鬼の雪隠亀石

上の写真において、左は「鬼のまな板」、中は「鬼の雪隠」と呼ばれる石造物。墳丘にかぶさる土を失った状態なのだが、その墳丘内にある石室は、底石、蓋石、扉石の3つの石の組み合わせてできている。まな板は石室の底石にあたり、雪隠は蓋石にあたる、というわけだ。「この周辺は霧ヶ峰と呼ばれ、鬼が住み、通行人に霧を降らせて迷ったところを捕らえて、まな板の上で料理し、雪隠で用を足した」(現地看板より)という伝説があるという。

そして、右の写真が「亀石」と呼ばれる石造物。いつ何の目的で作られたかは明らかではないらしいが、かつて存在した川原寺の所領の四方の境界を示すものではないかという説がある。「むかし大和が湖であったころ、湖の水を当麻にとられてしまった。湖に住んでいたたくさんの亀は死んでしまった。何年か後に亀をあわれに思った村人達は、亀の形を石に刻んで供養したそうである。いま、亀は南西を向いているが、もし西に向き大麻をにらみつけたとき、大和盆地は泥沼になるという」(現地看板より)

石舞台古墳石舞台古墳

高松塚地区より車で移動して石舞台地区へ。こちらでの見どころはもちろん石舞台古墳。豪族の蘇我馬子の墓だと考えられているが、いちばん遺跡らしいと思えるのは素人目線か。巨大な石材が積み上げられており、長さ7.7m、幅3.4m、高さ4.8m、天井の石の重さは77トンとスケールが大きい。

石舞台古墳石舞台古墳では石室内に立ち入ることもできる。高松塚古墳や天武・持統天皇陵もそうだったが、ここでも盗掘に遭っていて、内部はがらんどうの状態。なだらかな丘陵ばかりの明日香村だというのに、よくも盗賊達は古墳を探し当て、お宝を盗掘できたな、と思う。むかしは一面の原野じゃなかったのかと思うのだが。

石舞台古墳
料金/大人250円、高校生200円、中学生150円、
     小学生100円
時間/8:30〜17:00、年中無休

というわけで、明日香村の遺跡群は見どころが数多く、そして各所に点在している。ダイジェストに見て回りたい人は狙いを絞って、古代史ファンは時間をかけてゆっくりと訪れることをおすすめしたい。遺跡ばかりではなく、その周囲に目をやればのどかな里山の風景が広がっている。飛鳥京観光協会に加盟している民宿では、1泊2食付が一律6,000円とリーズナブルなのもいい。

国営飛鳥歴史公園館
住所/奈良県高市郡明日香村平田538 [地図
電話/0744-54-2441
交通/近鉄吉野線飛鳥駅より徒歩7分
料金/無料
時間/9:30〜17:00(12月〜2月は9:30〜16:30)
     年末年始は休館

・財団法人明日香村観光開発公社
・飛鳥京観光協会
・国営飛鳥歴史公園
・財団法人飛鳥保存財団
・飛鳥資料館(奈良文化財研究所)