有馬温泉神戸市北区にある有馬温泉は、六甲山の北方の山あいに位置し、「関西の奥座敷」として親しまれてきた温泉地である。日本書紀には舒明天皇が631年に滞在したことが記されているが、有馬の湯が知られるようになったのは、奈良時代の僧・行基が温泉寺を建立してから。鎌倉時代には仁西という僧が12の宿坊を開き、その後、豊臣秀吉に愛された。江戸時代の温泉番付では西の大関として名を馳せるなど、古くから有馬は名湯として名高く、有馬千軒と言われるほどの賑わいをみせた。

有馬温泉というと…
「日本三名泉」…有馬温泉、草津温泉(群馬)、下呂温泉(岐阜)
「日本三古湯」…有馬温泉、道後温泉(愛媛)、白浜温泉(和歌山)
「日本三大薬泉」…有馬温泉、草津温泉(群馬)、松之山温泉(新潟)

有馬温泉むかしのCMでおなじみの「兵衛向陽閣」など、大型観光ホテルは温泉街の外側に並び、坂が多くて道の狭い中心部は、土産物店など情緒ある商家が建ち並ぶ。7か所ある泉源からは湯煙が上がっているが、こららの泉源は「金泉源」と「銀泉源」に分けられる。金泉は有馬で古くから親しまれてきた鉄分を含む茶色の高温泉。銀泉は温泉街を上りきった炭酸泉源に湧く、無色透明の冷泉。有馬温泉では外湯として「金の湯」(金泉)、「銀の湯」(銀泉)の2ヶ所があり、観光客も数多く訪れていた。

有馬温泉金の湯「金の湯」は神戸市営の温泉施設で、かつてあった有馬温泉会館を改築し、2002年にオープンした。温泉街の中心地にあり、足湯と飲泉場を併設しているので、多くの人で賑わっていた。外湯というと温泉地における共同浴場を指すことが一般的だが、ゆったりとしたホールや数多くのカランが並ぶさまは、日帰り温泉施設と言ったほうがふさわしい。源泉は有明1号・2号と天神泉の混合泉で、81.0℃〜94.8℃とまさに熱湯。「あつ湯」と「ぬる湯」の2つの湯船があり、いずれも酸化した鉄分によってお湯は茶色く濁っており、透明度はまったくない。タオルをお湯に浸さないように注意していても、身体を拭いたあとには茶色になってしまう。「ぬる湯」といっても浴槽は42℃、「あつ湯」は浴槽44℃とさらに熱く、塩分濃度も高いためジリジリ感がすごい。さすがに「ぬる湯」のほうに人が集まっていた。湯量が豊富なため、お湯はすべて掛け流し。

有馬温泉銀の湯「銀の湯」も神戸市営の温泉施設で、2001年にオープンした。炭酸泉源にほど近い場所にある。金泉が主流であった有馬において、わずかな距離の違いであるのに炭酸ガスを含んだ冷鉱泉は、かつて毒水と信じられていたが、飲料水として使用されたのは明治8年のこと。砂糖を入れてサイダーとして飲まれていた。銀の湯で使用している源泉は、炭酸泉とラジウム泉の混合泉。金の湯ほどの混雑ではなかったが、泉質の違いを確かめるため、はしごする人が多いようだ。半円状の湯船が1つ、ほかに打たせ湯とスチームサウナがある。湯温が低いため加温しており、また循環処理(掛け流し併用)も行っているため、炭酸泉といってもシュワシュワした感触はない。金の湯同様、塩素消毒を行っているのだが、多少の臭いを感じるのは泉質のためだろう。お湯は無色透明で、温泉施設としては可も不可もなくといった印象。金の湯ほどのインパクトは感じないが、ぜひその違いを実感して欲しい。銀の湯⇒金の湯の順番で入浴するといいかも。

有馬温泉 金の湯
源泉/有馬温泉(有明1号・2号、天神泉の混合泉)
     含鉄−ナトリウム−塩化物・強塩温泉
住所/神戸市北区有馬町833 [地図
電話/078-904-0680
交通/神戸電鉄有馬温泉駅より徒歩5分
料金/大人650円、小人340円(小学生)、幼児140円(3歳未満は無料)
     ※金の湯・銀の湯の共通券:850円
時間/8:00〜22:00、第2・4火曜日と1/1は定休

有馬温泉 銀の湯
源泉/有馬温泉(ラジウム泉・炭酸泉の混合泉)
     単純二酸化炭素泉、単純放射能泉
住所/神戸市北区有馬町1039-1 [地図
電話/078-904-0256
交通/神戸電鉄有馬温泉駅より徒歩10分
料金/大人550円、小人290円(小学生)、幼児120円(3歳未満は無料)
     ※金の湯・銀の湯の共通券:850円
時間/9:00〜21:00、第1・3火曜日と1/1は定休

有馬温泉観光協会
有馬温泉旅館協同組合

有馬温泉金の湯・銀の湯パンフレット

有馬温泉パンフレット