田浦湯(小田原市扇町)田浦湯(小田原市扇町)田浦湯(小田原市扇町)

田浦湯は小田原に2軒残る銭湯のうちの1軒。市街地を南北に通過する国道255号線の沿道には、昔ながらの個人商店が軒をつらねているが、JRの高架より北側には郊外的な風景が広がっている。高架くぐってすぐの交差点が寺町。そこを通過する車は多いが、交差点に面して建つ田浦湯に気づく車は少ないのかもしれない。夕方なら暖簾と照明の灯った小さな看板が目印となりうるが、ブロック塀に隠れて建つ木造の建物は目立つこともない。同じく小田原にある中町の中嶋湯とはまた違う、味わい深さがあるのだが。

ブロック塀の裏側に回り扉を開けると、いきなり脱衣所。さらにその奥にある浴室までを見通すことができる。驚くべきほどの「激狭」銭湯だ。棚に収まる脱衣籠はわずか10個だけ。テレビも棚の中にあって、大音量で相撲中継を流していた。6帖ほどの空間の中に番台や棚、ジュースのショーケース、体重計などが雑然と並ぶのだから、実質的な脱衣スペースはわずかな広さしかない。

田浦湯(小田原市扇町)浴室は2間×3間の12帖ほど。カランが左右の壁際に4つずつ並び、片方にだけ固定式シャワーが付いている。カランからのお湯は勢いが弱く、シャワーからのお湯はかなりぬるい。あとから浴室に入ってきたおじさんは湯船から直接お湯をすくっていたが、こうしたほうが手っ取り早い。しかし湯船のお湯は温度計では42℃を指しているのに、実際はそれ以上の熱湯で、じりじりと肌に突き刺すほど。「普段はもっと熱いんだよ」とおじさんは言うが、とんでもない話である。湯船は4帖に満たない大きさで、ほぼ真ん中に仕切りがある(片方は深め)。「銭湯の広々とした湯船…」というよりも、安い民宿の風呂場みたいな感じ。富士山の下に小川が流れ、そして川べりに水車小屋。そんな景色のペンキ絵の下には金魚のタイル画。そんな背景画がかろうじて銭湯っぽい。

風呂から上がったとき、脱衣所には2〜3人の客がやって来た。この程度の客入りですら脱衣所は混雑状態。お互い譲り合いながら服を脱いだり着たり。ちなみに神奈川県の組合料金より50円割安の小田原料金。中町の中嶋湯もそうだが、地元住民に愛されている様子が伝わってくる。開業したのは昭和3年のこと。先代は小田原の出身だが、横須賀市田浦で酒屋を営んでいて、それが田浦湯という名の由来。脱衣所に掛かっている鏡は酒屋時代のものだという。

田浦湯(神奈川県浴場組合)

田浦湯
住所/小田原市扇町1-15-9 [地図
電話/0465-34-0157
交通/伊豆箱根鉄道大雄山線緑町駅より徒歩7分、井細田駅より徒歩8分
     JR東海道線・小田急線小田原駅より徒歩13分
料金/大人400円、小学生以下170円、幼児70円
時間/16:00〜22:00、毎週土曜日定休

※料金は大人380円(記事投稿時)→400円(現在)

(2010/11/16)ちょっとだけ追記しました。