あさやホテル(鬼怒川温泉)鬼怒川温泉といえば北関東を代表する温泉地である。かつては滝温泉と呼ばれ、鬼怒川の西岸に湧く温泉のことを指していたが、明治になって東岸にも温泉が湧き(藤原温泉)、昭和2年にこれらを総称して鬼怒川温泉と呼ぶようになったという。

川の両岸にホテルが集中しているのだが、温泉街の風情や賑やかさはあまり感じられない。不況から脱却しつつあるとはいえ、なおも再生途上というところか。巨大ホテルが多く、館内で全てが事足りてしまうというのも街に賑やかさが感じられない一因なのかもしれないが。

あさやホテル(鬼怒川温泉)あさやホテルは温泉街の北側に位置し、客室数194室を誇る巨大ホテルである。産業再生機構の支援により2005年に、多彩な宿泊プランとビュッフェスタイルの食事のホテルへと生まれ変わった。館内でまず目を惹くのは12階までつづく吹き抜けの空間。季節柄、鯉のぼりが掲げられていたが、天井から吊り下がったシャンデリアといい、外国のリゾートホテルの雰囲気である。カラオケやバー、ゲーセン、ビリヤードなど娯楽にも事欠かない。別料金だが、夜は「重慶雑技藝術団」の公演も行われている。

12階建ての本館・秀峰館は鬼怒川に面した河畔の崖に建っているため、フロントは6階にある。大浴場は1階にあり、男性が「麻の湯」、女性が「紅葉の湯」と名づけられている。パンフレットを見るとどちらも浴室内の造りは同じである様子。湯船は広く、典型的なホテルの大浴場といった雰囲気。鬼怒川に面しているため川面を見下ろすが、同じように鬼怒川に面したホテルが多いため、大部分は曇りガラスとなっている。鬼怒川をはさんで真正面に建っていたホテルの解体は基礎部分まで進んでおり、工事車両が崖のギリギリで作業を行っている。ホームページで告知されているとはいえ、実に風情のない景色である。2009年3月の工事完了後には緑地化され、公園として整備されるという。

隣接する八番館は飲食店プロデュースの際コーポレーションが全面的に改装を行った。こちらには地下1階に大浴場があり、男性が「武夫鬼湯」、女性が「麗鬼湯」と名づけられている。八番館自体が和風の趣だというが、大浴場もシックにまとまっている。秀峰館の大浴場と同じく鬼怒川に面し、秀峰館よりも若干低い位置にあるものの、眺めは変わらない。

露天風呂は秀峰館の屋上にある。12階建ての建物というと鬼怒川では高層に属すため、まわりを取り囲む塀は胸の高さにとどめ、開放感のある造りとなっている。真下を流れる鬼怒川を見下ろすことはできないが、周囲のホテルやその背後の山並みをぐるりと一望する。「岩風呂・桶風呂」と「檜風呂・舟風呂」は時間により男女入替制。空中庭園露天風呂というだけあって、植栽に囲まれ、屋上とは思えないほどの落ち着いた雰囲気である。かつて川くだりで使用していた船をそのまま転用した舟風呂など、いずれの湯船も個性的だ。

鬼怒川温泉の中では有名なホテルの1つであるが、宿泊費もリーズナブル。食事もお風呂も期待以上の満足感だった。

あさやホテル
源泉/鬼怒川温泉(子宝の湯:単純温泉)
住所/栃木県日光市鬼怒川温泉滝813 [地図
電話/0288-77-1111
交通/東武鬼怒川線鬼怒川温泉駅よりバス8分
     JR宇都宮駅より無料共同運行バスあり(宿泊客限定・予約制)
     国道121号線で鬼怒川温泉街へ
料金/大人1,000円、子供500円 ※タオルつき、各種プランあり
時間/12:00〜20:00

参照:
いよいよベールを脱ぐ「鬼怒川温泉再生第一号旅館」。「全世代型温泉旅館」の誕生
  (All About)
出没!アド街ック天国(鬼怒川温泉・2004年1月10日放送)