鉄輪むし湯鉄輪地区には長逗留の湯治客のために貸間旅館などが多く建ち並んでいるが、そのど真ん中にあるのが、市営の公共浴場・鉄輪むし湯。名前の通り「むし湯」という変わった入浴方法が楽しめる。料金を支払う際に簡単な説明を受け、そして脱衣所へ。裸になって内風呂で掛け湯。そのあと再び脱衣所。借りた浴衣を裸のうえにまとい、これで準備完了。受付にいるおばちゃんに声をかけ、番号札を腕につけてもらったら、小さな扉からむし湯の浴室へ。

鉄輪むし湯8帖ほどの薄暗い室内には床一面に石菖という薬草が敷き詰められている。藁のようにゴワゴワとした感触で、イグサを蒸したような臭いと湯気が充満している。入口側に木製の枕が等間隔で並んでおり、そこに頭を載せ、薬草の上にじかに寝そべる。初めのうちは室温も温く、薬草が多少チクチクするように感じるが、徐々に噴き出す汗と室内の湯気で浴衣と薬草がしっとりとしてくる。むし湯の入浴は10分が目安。時間が経つと外から番号で呼ばれる。汗でびっしょりになった浴衣は脱衣所で脱ぎ、内風呂で汗を流す。

鉄輪むし湯浴室は新しくてきれい。それもそのはず平成18年に建て替えし、リニューアルオープンしたとのこと。無色透明のお湯が掛け流し。むし湯から出たばかりだと冷たい水をグイッと1杯飲みたいところだが。ウォータークーラーなどの設置があればいいな、と思う。


鉄輪むし湯-足むし外には足湯ならぬ足蒸しもあり、無料で利用できる。

ところでこの「むし湯」だが、鎌倉時代の建治2年(1276)に、一遍上人によって創設されたと伝えられている。館内には一遍上人の仏像が祀られている。20世紀初頭に活躍した詩人・野口雨情が訪れたときには、「わたしゃ鉄輪むし湯の帰り 肌に石菖の香が残る」と詠んでいる。通常のサウナよりもたっぷり汗が出るし、横たわっているぶん身体も楽。乾式と湿式の両方の要素を併せ持つ、和風のサウナである。別府を訪れたらぜひ体験してみてほしい。

鉄輪むし湯
源泉/鉄輪温泉(金龍地獄:ナトリウム−塩化物泉)
住所/大分県別府市鉄輪風呂本1組 [地図]
電話/0977-67-3880
交通/JR日豊本線別府駅西口よりバス16分「鉄輪」停徒歩4分
料金/500円 ※貸浴衣210円
時間/6:30〜20:00、毎月第4木曜日定休