旅行人山荘霧島温泉郷は宮崎県との県境に位置し、霧島山の南西麓に湧く温泉街である。丸尾・新湯・林田・湯之谷・関平・硫黄谷・栗川・殿湯の大小8つの温泉があり、丸尾温泉が温泉街の中心地。

旅行人山荘は大正6年に丸尾温泉旅館として創業。昭和43年に現在地に移転して霧島プリンスホテル、そして平成9年に旅行人山荘と名を変えた。霧島温泉街のメイン通りからは林道を上っていく。山荘といっても外観も館内も立派な観光ホテル。

旅行雑誌「旅行人」の蔵前編集長の実家としても有名だが、露天風呂のロケーションの良さでも知られている。「じゃらん」のクチコミ宿ランキング“お風呂に満足な宿”では九州+沖縄部門で堂々の第1位。貸切露天風呂「赤松の湯」はブレンディのCM撮影でも使われ、多くのメディアで高評価を獲得している。貸切風呂は全部で3ヶ所あり、いずれも林の中にある。自然と一体になった貸切露天風呂にも心惹かれたが、今回は大浴場を利用した。

内風呂と露天風呂で2つの源泉を持ち、内風呂は単純泉の丸尾温泉。文政2年(1819)に横尾権太によって発見された温泉で、湯治の湯として使われていたという。やや青みがかった白いお湯で、湯の花でにごっている。石造りの湯船で外の露天風呂に向かってガラス張りになっており、薄暗い浴室に明るい日差しが入ってくる。

露天風呂は硫黄泉の硫黄谷温泉。森に囲まれた噴気帯にある温泉だという。100℃〜130℃の蒸気と熱湯の源泉に湧き水を加水し、温度を調整している。温泉街からは奥に入り、そして標高700mの高台にあるので露天風呂からの眺めは最高。遠くに山並みを望み、大きな岩でつくった湯船には白く濁ったお湯が掛け流しで溢れている。日差しが反射してかなりまぶしい。お湯には大粒の湯の花が舞っていて、手や足に積もるようにして付着する。内風呂と比べるとやや温めだが、そのぶん長湯できて気持ちがいい。

大浴場の入口手前にある休憩所にはすばらしく高機能のマッサージ機があり、無料で利用できる。テーブル、ソファも並んでいるので、景色を眺めながら湯冷ましするのもよい。

旅行人山荘-龍石の湯(足湯)休憩所から外に出ると無料の足湯「龍石の湯」もあり、露天風呂と同じ景色を眺めることができる。足湯には駐車場から直接行くこともできる。“龍石”とは字名なのだが、下記のような伝説があるという。

「昔々、このあたりは木が一本もない草山で恐ろしい龍が棲んでいました。ある日、龍が天より高く昇ろうとしたところ、神様はたいへん怒り「石になれ」と龍を石に変えてしまいました。石になった龍はまっさかさまに地上に落ち、そのまま動かなくなりました。草山に点々と残る石の龍は、はるか遠くからも見えたそうです。それからこの地を誰ともなく「龍石」と呼ぶようになりました。今でもこの周辺にはたくさんの大岩が残っています。」(現地看板より)

ホテルの周囲は5万坪の専用散策林。鹿児島銀行のポスターの撮影地にもなった。5万坪というのがどのくらい大きいのか想像がつかないが、花、野鳥、動物、どれをとっても季節ごとに楽しめそうだ。

旅行人山荘
源泉/丸尾温泉(単純温泉)、硫黄谷温泉(単純硫黄泉)
住所/鹿児島県霧島市牧園町高千穂字龍石3865 [地図
電話/0995-78-2831
交通/JR日豊本線霧島神宮駅、または肥薩線霧島神宮駅よりバス25分「丸尾」停下車
     国道233号線・霧島温泉街西寄りの「グリルおふくろ」より坂を上る
     ※駐車場70台分あり
料金/大人500円、子供250円
     貸切風呂(50分):大人1,000円、子供500円(11:00〜14:30)
時間/11:30〜15:00