栗野岳温泉南洲館栗野岳温泉南洲館は霧島連山・栗野岳(標高1,102m)の中腹にある一軒宿の温泉。山の中の林道をひたすら走っていく。江戸時代に明礬採掘の目的で開かれ、以来湯治に利用されていたという。明治9年には西郷隆盛が1ヶ月ほど狩猟と温泉に訪れたこともあり、敷地内には「南洲翁遊猟之地」という石碑が建てられている。南洲館という宿の名前は、西郷隆盛(南洲翁)にちなんでいる。

受付棟や湯治棟、浴室などいくつもの建物が点在し、誰しもが想像しうる山中の湯治場の風景が広がっていた。裏山からはかなりの勢いと量の噴煙が上がり、おどろおどろしさすら感じさせる。湯治客はそれなりにいるのだろうが姿は見えず、静寂そのもの。平成の世も20年目だというのに、ここだけ時が止まっているようにも見える。

受付で料金を支払うが1ヶ所の入浴だと300円、2ヶ所だと500円、3ヶ所だと600円という料金体系になっている。同じ敷地内でもそれぞれ泉質も個性も異なるお湯なので、当然3ヶ所の料金を支払い、いざ浴室へ。

栗野岳温泉南洲館-桜湯栗野岳温泉南洲館-桜湯

受付棟よりいちばん近くにあるのが「桜湯」。小さな浴室の真ん中に正方形の湯船が1つ。青白いお湯が掛け流し。早い時間に訪れたからなのかまだ誰も入っていなかった様子。細かい湯の花が大量に沈殿していて、身体を動かすとふわっとお湯の中で舞い上がる。硫黄泉の新鮮なお湯を満喫することができた。

栗野岳温泉南洲館-蒸し風呂栗野岳温泉南洲館-蒸し風呂

つづいて桜湯の裏手を少し上ったところにある「蒸し風呂」へ。薄暗い浴室の中には、掛け湯をするための小さな湯船が左右にある。片方は適温なので源泉のようだが、もう一方は冷たいので水だと思う。そして浴室の奥には小さな扉が2つ。まずは右側の扉を開け、かがむようにして入ってみる。狭いわりには奥行きがあり、室内を湯気が充満している。うっすらと光が入っているので、もやの中にいるような感覚。人肌程度なのか、なかなか身体が温まらないので、今度は左の扉を開けてみる。こちらは中が真っ暗。手探りでおそるおそる入ってみるが、天井は低いし、なりより室内はかなり熱い。天然のスチームサウナの入浴は貴重な体験。ここはグッと我慢だが、それにしても熱かった。

栗野岳温泉南洲館-竹の湯栗野岳温泉南洲館-竹の湯

受付棟の脇から湯治棟の脇へと抜けて、最後は「竹の湯」へ。脱衣所には「冬はお湯が少なく泥が多くなり、酸性が強くなる」といった旨の貼り紙があった。掲示されている古い成分表によると、泉質は明礬緑礬泉、pH1.9とのこと。かなりの強酸性なのだが、冬になってこれ以上酸性が強くなるとはどういうことか。薄暗い浴室は壁も床も石積みで、ものすごくひなびている。湯船のふちには木の枕が置かれている。掛け湯しながら床に寝転んで…という光景がいつも行われているのであろう。灰色のお湯が掛け流し。湯船の底にはぬるっとした泥が沈殿している。身体に塗ってみると、泥パック効果なのかいい具合に肌がつるつるになる。

栗野岳温泉-八幡地獄栗野岳温泉-八幡地獄
栗野岳温泉-八幡地獄栗野岳温泉-八幡地獄
栗野岳温泉-八幡地獄栗野岳温泉-八幡地獄

南洲館の敷地の裏には広さ約2ヘクタールの噴気孔「八幡地獄」があり、自由に見学することができる。遊歩道をだんだんと上って行くと、四方からプツプツという音が聞こえてくる。これは小さな噴気孔から泥が噴き出している音。噴気孔はつねに誕生しているようで、足元のあちらこちらに見ることができる。小さな噴気孔といえども火山活動の証。奥に進むにしたがって巨大な岩石が噴煙で白く変色し、まさに地獄の光景が広がっている。もくもくと煙が上がり、立ち入り禁止の標識と簡単なロープで仕切られてはいるが、かなり危険な場所。地獄内での事故については自己責任。南洲館を訪れると珍しい温泉に入浴できるだけではなく、ダイナミックな自然をも満喫できる。そしてひなびた湯治場の雰囲気も味わうことができる。わざわざ訪れる価値は絶対にある。

栗野岳温泉南洲館
源泉/栗野岳温泉
     (桜湯:単純硫黄泉)
     (蒸し風呂:含鉄(・)−アンモニア−硫酸塩泉)
     (竹の湯:含鉄(・)−アンモニア−硫酸塩泉)
住所/鹿児島県姶良郡湧水町木場6357 [地図
電話/0995-74-3511
交通/JR肥薩線栗野駅よりバス16分「栗野岳温泉」停下車すぐ
     国道268号線より県道103号線で栗野岳方面へ
料金/(1ヶ所入浴)大人300円、小学生150円、幼児75円
    (2ヶ所入浴)大人500円、小学生250円、幼児100円
    (3ヶ所入浴)大人600円、小学生300円、幼児150円
時間/9:00〜21:00

※ネットでほかの方の入浴記を読んでみると、蒸し風呂について「ラジウム泉」と紹介しているのを見るが、現地には成分表がなかったので、ここでは「自遊人」の情報を利用。