浜の湯辻堂駅の小田原寄りにある小さな改札口(西口)から誇線橋を渡り、長いスロープを降りていくと、1軒目の建物が「浜の湯」だ。駅前といえば聞こえがよいが、駅の北側一帯は区画整理事業によって広大な更地となっており、浜の湯のあるあたりはわりと庶民的な風景と松下電池の工場が広がるものの、なんだか寂しい感じもする。ちなみに広大な敷地にはかつて関東特殊鋼の工場があり、そちらは藤沢市。浜の湯とは隣接しているが、ちょうど市境にあたる。今後どのような街づくりが進められるのか。完成は2009年であるようだ。

浜の湯(茅ヶ崎市赤松町)浜の湯は番台式の小さな銭湯だ。脱衣所には籐で編んだ籠が収められた棚と鍵つきのロッカーが半分ずつある。先客は4人いたが、籠を使う人とロッカーを使う人は半々。ほかには鏡と体重計、飲み物のショーケースがあり、いつの年のかわからない銭湯PRポスターと女性の演歌歌手のポスターが貼られている。いたってシンプルだ。

浴室もまたたいして広くはない。カランが全部で18あり、湯船は2つ。2帖ほどの大きさで深めの湯船、そして3帖ほどの大きさでジャグジーの噴出し口が2つある浅めの湯船。温度計を見ると46℃を指していたが、給湯口の温度だと思う。実際はそこまでは熱くない。

ここまではいたって普通の銭湯のようだが、浜の湯はペンキ絵とタイル絵が素晴らしいのだ。まず湯船の真上に描かれた大きな富士山の絵。最近塗りなおしたのかしらんが、色鮮やかでダイナミックだ。海と富士山だけといういたってシンプルな構図でわかりやすい。その下には幅1mほどの小さなタイル絵がある。題名は「大沼道立公園・駒岳」。蒸気機関車が大沼の堤の上を走る様子が描かれている。女湯との間仕切壁には「野次喜多道中記」。何をテーマとしているのかよくわからなかったが、川を歩いて渡る人たちの絵が描かれている。以上、それぞれの絵に共通点はないのだが、いずれも和のテイストだし、銭湯らしくて非常に好感が持てる。そして、脱衣所との出入口の上の摺りガラスには「鷹の羽」の家紋が彫られているが、こういう装飾も見逃せない。外観は素っ気ないが、中に入ってみると和風テイストあふれる銭湯だ。

浜の湯(神奈川県浴場組合)

浜の湯
住所/茅ヶ崎市赤松町13-2 [地図
電話/0467-52-7774
交通/JR東海道線辻堂駅西口より徒歩1分
料金/大人450円、小学生以下180円、未就学児80円
時間/15:30〜22:00、毎月7,17,27日定休(日曜日の場合は翌日)

(追記-2012/5/27)
大型ショッピングモール「テラスモール湘南」が昨年11月にオープンし、連日賑わいを見せている。浜の湯は建築中の大型マンションを隔てて再開発地区と隣接しており、新たな客層の取り込みが図れればよいなと思うのだが、実際のところはどうなのだろうか。先日ひさしぶりに浜の湯を訪ねたが、現時点では今後に期待といった感じだった。