長野県北部にある野沢温泉はスキー場でも有名な温泉地。背後にひかえる標高1650mの毛無山の山頂からの斜面にはゲレンデがいくつもあり、温泉街はいちばん麓にある。温泉街といっても旅館やホテルのほか、ペンションが数多く建ち並んでいるのがこの地の特徴か。端から端まで歩いても20分足らずの温泉街だが、宿泊施設は350軒ほどあるという。狭い路地にも観光客相手の店があったりして、中規模の温泉街といった雰囲気だが、スキーシーズンはまた違った雰囲気かもしれない。

野沢温泉は行基が発見したという説のほかにも諸説あるのだが、江戸時代には飯山藩松平氏が別荘を建て、庶民に湯治を許可したことから賑わうようになったといわれている。野沢温泉といえば「野沢菜」でも有名だ。これはいまから250年ほど前、健命寺の住職が京都土産に持ち帰った天王寺蕪の種を蒔いたところ、気候や風土の違いから独自の品種となったという。健命寺には野沢菜発祥の記念碑が建てられている。ちなみに野沢菜といっても、実は「菜の花」である。

麻釜源泉は30ほどあるが、もっとも有名なのは温泉街の北端にある「麻釜(おがま)」。90℃の源泉が湧き出し、地元の人たちが野菜や山菜を茹でる光景を見ることができる。この源泉から供給されたお湯は緑がかった色をしているが、それは野沢菜を茹でたからだという。かつては刈り取った麻をこの湯に浸していたことから麻釜の名がついたそうだ。


温泉街には共同浴場が13あり、江戸時代から続く地元住民による「湯仲間」という制度によって管理、維持されている。平成8年に「大湯」に薬師三尊を奉ったところ入浴客から大変な尊崇を集めたという。いまではほかの12の共同浴場にも12神将を奉っており、またそれぞれに子、丑、寅、といった具合にお守り方位別に干支が割り振られている。共同浴場には無料で入浴することができるが、入口には賽銭箱が置かれている。地元住民への感謝の気持ちという意味で、いくらか投げ入れるべきだと思う。そしてくれぐれもマナーを守って入浴したい。

大湯大湯
温泉街の中心にあり、木造建築の立派なたたずまいはまさに野沢温泉のシンボル。入口を開けてすぐに脱衣スペースがあり、そしてそのすぐ脇には湯船が2つ並んでいる。いずれも2帖ほどの大きさで、あつ湯とぬる湯に分かれている。ぬる湯といっても常識で考えるとかなりの高温で、あつ湯にいたっては常識では考えられないほどの熱さだ。

麻釜湯麻釜湯
麻釜(おがま)から西に下ってきたところにある。こちらの読みは「あさがまのゆ」。集会所のような素朴な建物で、やはり脱衣スペースのすぐ脇に2帖ほどの大きさの湯船がある。お湯はかなり熱め。床のタイルは最近改装したようだ。



今回訪れたのは上記2ヶ所だが、露天風呂もある日帰り温泉施設「温泉健康館のざわ」(大人1,000円)、インドアプールもある「野沢温泉アリーナ」(プールは大人1,000円(夏季料金)、温泉は大人600円)といった施設がある。また、日帰り入浴を受け付けている旅館やホテルもある。

野沢温泉
源泉/野沢温泉(ナトリウム・カルシウム−硫酸塩泉)
住所/長野県下高井郡野沢温泉村 [地図
電話/0269-85-3114(野沢温泉村商工観光課)
交通/JR飯山線戸狩野沢温泉駅よりバス20分
     上信越道「豊田飯山IC」より国道117号線で25分
料金/共同浴場は無料
時間/5:00〜23:00


野沢温泉観光公式ページ(野沢温泉村商工観光課)
野沢温泉旅館組合
野沢温泉民宿組合
野沢温泉宿泊業組合
野沢温泉インターネットテレビ
YOMIURI ONLINE(2006年7月1日)「湯遊探訪」−信州温泉巡り
  <10>野沢温泉・大湯(野沢温泉村) 46度、気持ちいい熱さ