志楽の湯矢向駅を出てすぐの踏切を渡り、駅の裏側へ。突き当たりの中島歯科を右に曲がると両側に3階建のマンションが建ち並んでいる。志楽の湯はその先にある。砂利敷きの駐車場の奥に志楽の湯と蕎麦屋の志楽亭が並んで建っている。大きな看板はなく、しかも木々に隠れるようにして建っているので、気づかず通り過ぎてしまいそうな佇まいである。

館内は落ち着きのある雰囲気。浴室までの通路には余計な装飾や宣伝はなく、高級旅館に来たような錯覚を覚える。脱衣所がやや狭いかなとも思うが、そのぶん浴室自体は広々とした印象を受ける。とくに洗い場のスペースには必要以上にカランが並んでいるような気がするが、このゆったり感や清潔感は気持ちがいい。

内湯は味噌樽風呂のほか、水風呂とサウナ、そして御柱の湯と名付けられた大きな湯船。窓枠で数えたら16坪位もある大きな湯船で、諏訪大社の御柱祭にちなんだという御柱が立っている。おじさんたちは風呂の縁で寝そべったりしていて、まるで湯治場のような光景である。

露天風呂は八ヶ岳の安山岩を並べてつくった岩風呂。黒川温泉の「風呂作り名人」後藤哲也さんが、ここに縄文の森があったと想像して作ったものだという。温泉のお湯は黄緑がかった薄い茶褐色なので、気をつけて入らないと滑ってしまいそうな岩の配置。緻密に計算しているのかそうでないのかわからないほど自然なつくりだ。周囲には植栽があり、さらに板塀で囲まれているが、雑木林の中にいるようなような雰囲気である。これが縄文の森なのだと言うならば、そういう気がしなくもないが。ちなみに黒川温泉の後藤さんって誰だ?と検索してみたら、国土交通省のホームページで「観光カリスマ」として紹介されていた。神明館という旅館のご主人。

ところで志楽の湯の源泉は地下1,300mから汲み上げている。昨今ではこんなに深くボーリングしてまで温泉を掘削することには批判もあるが、志楽の湯のパンフレットには「非火山地域の1,000m以上地下深くから湧いた温泉の方が成分が濃いのです」とある。塩化物イオン濃度と化学成分総計のデータをグラフにして示し、源泉がいかに優れているかを解説している。なんだか大げさに騒ぎすぎじゃないかとも思うが、せっかく湧いた温泉だし、川崎でこの雰囲気ならば文句なし。

志楽の湯
源泉/川崎温泉(ナトリウム−塩化物強塩泉)
住所/川崎市幸区塚越4-314-1 [地図
電話/044-533-8888
交通/JR南武線矢向駅より徒歩6分
     国道1号線「都町」交差点を矢向駅方面へ。セブンイレブンを右折し300m。
     ※駐車場100台分あり
料金/タオルセット付き
     (平日)大人970円、子供620円
     (休日)大人1,150円、子供800円
     タオルセットなし
     (平日)大人850円、子供510円
     (休日)大人1,000円、子供690円
     平日深夜料金(22:30以降)大人720円、子供500円
     ※子供は5歳以上
時間/10:00〜24:00、年中無休
     露天風呂は朝8時より営業(料金はタオルセットなしを適用)
     8月を除く毎月第3水曜日は15:00〜24:00(8月を除く)

(追記-2008/02/14)
黒川温泉の神明館は2008年1月6日に訪問。
志楽の湯の岩風呂ことなどすっかり忘れていたので、本当に偶然。
そのときの入浴記はこちらでどうぞ。

(追記-2012/9/22)
料金・時間の欄を修正しました。現在は上記のとおりです。