不動湯辻堂駅南口から藤沢駅方向に歩いていくと、いくつかの銀行の前を通り過ぎ、そして線路をくぐる南北の自由通路がある。車もここで線路と交差するようになっている。ここで辻堂海岸のほうに歩き、青い建物の酒井医院の信号を左折。50mほど歩くと不動湯がある。

不動湯(藤沢市辻堂元町)まず建物の美しさに見とれてしまうはずだ。住宅街に突如として現れた和風建築の銭湯。斜めに伸びた松の木も美しい。「オゾン温泉」と書かれたホーロー看板も素敵だが、男湯・女湯双方のドアの透かしガラスの温泉マークも素敵。入ると小さな番台があり、脱衣所が広がる。壁際に棚があるけど、そこは常連さんの石鹸などを置くスペース。わずかな数のロッカーもあるけど鍵はない。どうしたものかとまわりを見ると、みんな籐でできた丸い籠に脱いだ服を入れ、適当なところに置いて浴室に入っている。こんなのは初めてだ。トイレは外にあり、脱衣所と外塀の間の狭い空間は庭になっていて池があり、魚が泳いでいる。

浴室はレトロそのもの。カランは左右と中央に4列に並んでおり、全部で20ほど。そのうち女湯との間仕切壁側の6つしかシャワーがなく、真ん中の列にいたっては鏡もなく、まさにカランがあるだけ。そしてカランから出るお湯はビックリするほど熱い。19時ごろの時点で5〜6人の常連さんが集っていた。

不動湯(藤沢市辻堂元町)浴槽はわりと深めのものが2つ。いずれも同じ大きさで3〜4人が入れるサイズ。今日の日替わり湯は「薬湯」とのことだったが、2つとも青い入浴剤が入っている。気持ち程度にブクブクしているが、これが「オゾン温泉」の意味することらしい。“バクレス式イオン化オゾン発生器”なるものによって発生したブクブクは美肌、健康などに効果があるようだ。看板には厚生省田口博士実験発表・美容家山野千枝子女史推奨とあるが、山野千枝子(1895-1970)といえば、日本の美容界の草分け的存在。吉行あぐりの師匠でもある。余談だが。

そして浴槽側の壁にはゴツゴツした大きな岩が積み上げられ、そして石灯籠も置いてある。岩壁の露天風呂といった風情か、それとも海底に沈んだ風呂場とでも言うべきか。とにかくダイナミックである。

建物にしても浴室にしても驚くことの連続であったが、こんなレトロな銭湯が辻堂駅徒歩圏の住宅街にあるということがいちばんの驚きである。

不動湯(神奈川県浴場組合)
不動湯(ふじさわの商店街)

不動湯
住所/藤沢市辻堂元町1-5-22 [地図
電話/0466-34-6282
交通/JR東海道線辻堂駅より徒歩5分
料金/大人450円、小学生以下180円、未就学児80円
時間/15:00〜23:00、毎週火曜日定休

(追記-2012/9/26)
現在は毎週火曜日定休となっています。