広沢寺温泉への入口曹洞宗広沢寺写真右:下向き地蔵と石塔
写真左:玉翠楼の裏にある曹洞宗広沢寺





広沢寺<コウタクジ>温泉に通じる道の入口にはお地蔵様と石塔が立っている。それに添えられた看板の話が興味深かったので紹介したい。

下向き地蔵
 昔、七沢の石工の弟子が地蔵様を造ったが、できあがるという時に鼻を欠いてしまった。弟子はもう一遍造ったが、できあがった地蔵様は申し訳なさそうに下を向いておった。そこで親方は「地蔵様を高いところへのせれば、お参りに来た人に優しく語っているように見えるで」と弟子に台石を造らせて、地蔵様を高い所に上げさせた。この地蔵様を誰言うとなく「下向き地蔵」と呼ぶようになったそうな。
−広沢寺代16世蔵雲恵密代(1737)造

豆腐地蔵(広沢寺本堂に安置)
 ある雪の積もった朝、七沢の豆腐屋が家の前を見ると、山に向かって誰かの足跡がついていた。「こんなに朝早く来た人もいるもんだ」と足跡をたどって行くと、広沢寺奥の地蔵堂の所でとまっていた。主人は豆腐を置いて帰ってきた。その夜豆腐屋の夢の中に地蔵様が現れ「私は及川村のある寺におった地蔵だが、及川村は豆腐屋がなくこの七沢にやってきた。これからも頼む、そのかわりこの村に来る疫病を追い払ってやる」
 村の人々はこの地蔵様を豆腐地蔵と呼び、毎日毎日豆腐を上げお参りし、みんな長生きをしたそうな。

※看板は「厚木らしさの創造推進事業玉川地区協議会」が平成12年3月設置