山梨の後輩を訪ねたら、近所に「ロボットラーメン」なる一風変わった店があるという。客の注文に合わせてロボットがラーメンを作ってくれるそうで、テレビなどにも取り上げられているそうな。この情報だけでは想像がつきにくいが、ちょうど昼時。百聞は一見にしかずというわけで、さっそくその店を訪ねた。

ロボットラーメン そば処桃園

南アルプス市のケーヨーデイツー櫛形店のわきの細い道を入っていくと、その店はあった。ラーメン屋にしてはこぎれいで、屋号は「そば処桃園」。13時を回っていたせいか(?)、客はほかにサラリーマン2人だけ。店内の一角にはそば屋に似つかわしくない大型機械が置いてある。これか!と目の前の席に腰掛け、メニューの1ページ目には「パソコン注文 10% off」。いきなり「?」だが、それ以降のページをめくると、そばやうどんなどのメニューが並んでいる。ラーメンは普通盛り550円、大盛り650円、平日のセットメニュー750円。ロボットのロの字も書いていないが、店のおばちゃんによると「確かにロボットが作っている」という。ちょっと歯切れが悪かったが…。

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ラーメンの好みはパソコンの画面で操作する。麺の柔らかさやしょっぱさを選択する『簡単な注文』、さらに10種類のだしやスープの配合が変更できる『高度な注文』の2択。試しに高度な注文を選択してみると、醤油や塩の量、鶏がら、煮干、みりんなどの各項目について、「なし」「うすい」「うすめ」「普通」「濃いめ」「濃い」の6パターンを指定する。その指定方法によっては毒々しい味になってしまうだろうし、味気ないのもになってしまうだろう。よくわからないので、『簡単な注文』でなおかつすべて「普通」を指定。

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あらためて店内を見渡すと、店を訪れた芸能人の最新色紙が数枚飾られ、テレビ放送時のDVDは貰って帰ることもできる。注文は口頭ではなく、カウンターの上に置かれたモニターでの注文も可能のようだし、そちらの方が1割引になるようだ。そば粉を挽く石臼も機械による自動式だし、お茶やコーヒーのサーバーもある(これはメーカー製)。ドアが開くたびに「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と、店主のボソッとした声による自動アナウンス。ちなみに店内には有線で「キャッツアイ」など懐かしの歌謡曲が流れている。機械化で合理化を図っているわけではなく、おばちゃんは普通に接客するし、むしろニコニコと店内を動きまわっている。

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やがて機械が動き出した。本来は麺を茹でる機能もあるらしいが、この日はなぜか取り外されており、調合したスープをどんぶりに注ぐのみ。どんぶりがお盆にセットされる工程からして自動。スライドし、スープ、醤油の順番で注がれると、店主の手によって厨房へ。茹でた麺と具が載せられ、おばちゃんがテーブルへと運んでくれた。中途半端な機械化ではあるが、スープはラーメンの味の決め手。注文通りの「普通」の醤油ラーメンだったが、名物店がダシや鶏がらなどにこだわるのとは対極で、普通の味こそがいちばん難しいのではないだろうか。子供の頃に近所の中華料理店で食べたラーメンを思い出させてくれた。美味しく作るも不味く作るも自分次第ではあるが。

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貰ってきたDVDによると、味は2億通りで、スープの調合は0.1グラム単位。店主はもともとは食品メーカーで麺作りマシンの開発をしていたエンジニアで、機械もソフトも手作り。脱サラして開店したという。麺は手打ち式麺機による自家製麺のためコシがあり、化学調味料を使用しない無化調ラーメンであることも特徴。そばは店舗裏の畑で栽培し、梅干、こんにゃくも自家製。食材も機械もホームページも手作りのこだわりがあって楽しいが、宣伝下手なのがかえって憎い。ちなみに口頭で注文したにもかかわらず、料金は1割引にしてくれた。おおざっぱなところも好感が持てる。山梨を訪れた際はぜひ立ち寄ってみてほしい。

そば処桃園
住所/山梨県南アルプス市桃園1421-2 [地図
電話/055-284-4432
交通/国道52号線(富士川街道)「NTT小笠原北」交差点より240m
     中部横断道南アルプスICより約2.9km
時間/11:00〜14:30、18:00〜20:30、年中無休