平成楼(埼玉県嵐山町千手堂)正確な数はわからないが、埼玉県は意外と健康ランドが多いのではないかと思う。歌謡ショーや大衆演劇など中高年の娯楽として愛されてきたが、全国的には年々減少の一途を辿っている。しかし、埼玉県の場合は主要街道沿いでもない嵐山町にぽつんと一軒、「平成楼」という施設があるから驚いた。嵐山渓谷天然温泉重忠の湯とあるが、嵐山渓谷は紅葉の見どころとして有名らしく、そして重忠とは鎌倉時代にこの一帯を治めた畠山重忠を指すらしい。それにしても県外の人がわざわざ訪れるような立地ではなく、よほど地元の人に愛されていないと集客力として厳しかろうと余計な心配をしてしまう。なにはともあれ実際に行ってみるしかない。

外観は和風の趣で、健康ランドにありがちな派手なネオンサインは一切なく、周辺ものどかな田園地帯。到着したのは深夜に近い頃だったが、ロビーに人影はなく、静まり返っている。下足箱の鍵と引き換えにロッカーの鍵、そして館内着とタオルの入ったバッグを受け取る。パンフレットには「館内着がお洒落になりました」とあるが、以前はものすごくダサかったのだろうか。1階のレジャールーム(独立した部屋ではないのだが)には漫画本約2,000冊、スロット機、インターネットコーナーなどがあり、パーテーションを隔ててその裏側には喫煙コーナー。なぜかソファで寝ちゃう人もいて、こうした点に場末感がよく表れていると言うべきか。

平成楼パンフレット1

浴室に入って真正面には、直径4mほどで深さ1mの円形風呂がある。「鉄分やマンガンを含むため臭いや濁りがあります」と書いてあるが、バイブラ&ジャグジーでぶくぶくしているため、温泉らしさは感じられなかった。円形風呂を囲むようにしてコの字型にカランが並び、浴室の片隅の機械室からはステンレスの配管が室内上部を通って各浴槽へと枝分かれしている。イベント湯は黄緑色の「金龍の湯」。そして「トゴールウォームタイト」(日本健康開発財団推奨)という鉱石を使用した準天然温泉と森下仁丹の「薬仁湯」の湯船が向かい合って並んでいる。薬湯は泥のような色をしており、生薬独特の臭みと皮膚への刺激がある。さらに浴室には高温のドライサウナ。露天風呂はタイル張りの湯船と、最近リニューアルしたというヒノキ風呂。日本庭園風の趣だが、深夜だったため薄暗さの印象しかない。このほかに、25mの室内温水プールもあったようだが、「補修のめどが立たず」に閉鎖。

平成楼パンフレット2

仮眠や食事は2階にて。大広間では歌謡ショーや大衆演劇が定期的に行われている。うどん・そばコーナーは深夜になると居酒屋の雰囲気だった。休憩室(テレビ室)と映写室が仮眠室として開放されているが、収容人数は多くないため週末や行楽シーズンは混み合うかもしれない。女性専用の仮眠室も別に用意されている。そのほかゲームコーナー、全自動麻雀ルーム、キッズコーナーなどを揃えている。館内は全体的に中高年のオアシスといった感じで、賑やかさや華やかさはない。昔ながらの健康ランドとでもいうべきか。

平成楼
源泉/嵐山渓谷温泉(温泉法の温泉)
住所/埼玉県比企郡嵐山町千手堂395 [地図
電話/0493-62-1188
交通/東武東上線武蔵嵐山駅より送迎バス(1日4便)
     関越道東松山ICより国道254号線経由で約10分
料金/大人1,260円、子供525円(4歳〜小学生)
     深夜割増840円 ※0:00〜9:00
     早朝割引630円 ※5:00〜9:00
     (2時間コース)630円
     (3時間コース)735円 ※1時間延長ごとに210円増し
時間/10:00〜翌9:00、年中無休