ニュー天野屋伊勢原市街地より北に走り、R246や東名高速を越えると、突如として田園風景が広がる。「ニュー天野屋」は高部屋地区の集落にあり、「温泉入口」という交差点の角。5階建てのホテルなので、遠くからでもよく見える。「日帰り温泉」ののぼりを周囲に立てているが、いかんせん日中の来客が少ないようで駐車場はガラガラだったりする。

浴室は地下1階にある。フロントの裏にある階段を下りていくとなんだか廊下が薄暗い。そういえばロビーもちょっと薄暗かったが。高級感のある薄暗さではなく、たんに照明の数が少ないだけなので、これは何とかならないものか。

浴室には大きな湯船が1つあるだけ。どこにでもある観光ホテルの大浴場といった雰囲気。地下にあるのだが建物の構造的に空掘りになっているので、外に面してガラス張りになっている。空堀のわずかな空間には石灯篭と巨石が置かれ、隣地の擁壁を隠すようにすだれが立てかけてある。室内の壁のうち一面はタイルでサイケデリックに装飾され、天井の梁などにはくたびれている様子が見てとれる。

お湯はph10.1の高アルカリ泉。循環式だけどかけ流し。わずかにぬるっとしたような感触がある。美肌の湯としてPRに余念がない七沢温泉と同じ泉質で、そういえば地理的にもほど近い。「上杉と武田の戦いで傷兵が、この地に湧き出ていた泉で体を洗い傷を治したという伝説がありますが、大正12年の大震災で数メートルに及ぶ温水が噴出し温泉が湧くことが実証されました」とのこと。

帰りにパンフレットを貰ってきたのだが、それによると「平成10年の神奈川国体に向けて、伊勢原市も変わろうとしています」とある。すでに過去の出来事であり、国体があっても何も変わらなかったと思うのだが、そんなことより10年も前のパンフレットを堂々と置いていることに疑問を感じざるを得ない。近隣には七沢温泉や鶴巻温泉があり、伊勢原温泉の名はいまいち知られていないが、まだまだ宣伝次第では多くの客を見込めるのではないかと思う。パンフレットとホームページの更新は急務だと言える。

ニュー天野屋
源泉/伊勢原温泉(単純温泉)
住所/伊勢原市西富岡1067 [地図
電話/0463-95-0217
交通/小田急線伊勢原駅北口よりバス10分「温泉入口」停徒歩1分
料金/大人800円、子供500円
時間/11:00〜21:00