万座温泉ホテルスキーで有名な万座温泉であるが、この地域の歴史は古い。そもそも万座とは「八百万の神々が座して祭事を行った場所」という意味だそうで、坂上田村麻呂がこの地で鬼退治をしたという伝説もあるという。 標高2,171mの白根山の西麓にあたり、万座温泉でも標高1,800mに位置する。ホテルや旅館はスキー場とセットになっているため温泉街といった雰囲気ではないが、温泉が目的ならばここ万座温泉ホテルをおすすめしたい。

万座温泉ホテル日進舘には9つの湯船があり、日帰り入浴の受付があるホテル本館の大浴場にはそのうち5つの湯船がある。ホテルは山小屋のような外観だが、ロビーやラウンジといった館内の雰囲気はごく普通の観光ホテルといった感じ。それに対して、大浴場の室内は古民家のような雰囲気。立派な梁が組まれていて、壁や床はすべて板張り。そのためか多少薄暗く感じるが、それも雰囲気と調和していて、温泉場に来た!という気分をよりいっそう盛り上げる。そして広い室内には「姥湯」「姥苦湯」「ささ湯」「滝湯」「真湯」の湯船があり、それぞれ泉質が違うのだという。そしてこれらの湯船はすべて木造である。万座温泉はわずかに青みがかった乳白色のにごり湯で、硫黄のにおい。湯量が豊富なので源泉掛け流し。

万座温泉ホテル露天風呂ホテル館内にある「姥苦湯」と「ささ湯」は露天風呂だが、もっと眺めがよい露天風呂が「極楽湯」。ホテルから1〜2分歩いたところにある。小さな建物なのだが、服を脱いでから長いトンネルを抜けると、4帖くらいの露天風呂がある。目の前の山々はところどころがスキーのゲレンデになっているので、シーズンオフはなんとも不恰好だが、遠くには山頂に雪をかぶった白根山を望み、まさに絶景。このロケーションならば何時間でも湯につかっていたい気分だが、天気がよかったので乳白色のお湯の照り返しもあって眩しいくらいだ。

万座温泉ホテル(鉄湯・ラジウム湯)さらに坂道を2〜3分下っていくと、「鉄湯」「ラジウム湯」の建物がある。木造下見板張りで、田舎の集会所といった簡素な外観だが、2006年末まではほかの建物数棟と「日進舘」という離れであったようだ。パンフレットの写真などを見ると、田舎のひなびた湯治宿のような雰囲気。ちなみに万座温泉ホテルの宿泊には「湯治プラン」もあり、最短で3泊〜最長で30泊といったコースがある。

さて、「鉄湯」と「ラジウム湯」であるが、これらは男女日替わり。鉄湯は乳白色のお湯だが、ラジウム湯は青っぽい透明感のあるお湯。この建物のすぐ裏手には源泉の湯畑がある。草津温泉のように整備されていない湯畑だが、ガス噴出につき近づかないようにといった驚くべき注意書きがある。その周囲は岩肌が露出し、荒涼とした雰囲気だ。

といったわけで、9つの源泉が3ヶ所の雰囲気で楽しめ、しかも1,000円。そういえば日帰り入浴の受付で料金を払うとき、「初めてですか?」と聞かれたが、逆に言えばリピーターも多いということだろう。はるばる山を越え、この温泉だけを目指していく価値はある。

万座温泉ホテル日進舘
源泉/万座温泉(含硫黄−マグネシウム・ナトリウム−硫酸塩・塩化物泉ほか)
住所/群馬県吾妻郡嬬恋村干俣万座温泉2401 [地図]
電話/0279-97-3131
交通/JR吾妻線万座鹿沢口駅よりバス45分「万座プリンスホテル」停下車すぐ
     長野新幹線軽井沢駅よりバス110分「万座プリンスホテル」停下車すぐ
     ※冬季は「万座バスターミナル」停が終点
料金/1,000円(タオルつき)
時間/10:00〜17:00